研究実績の概要 |
再エネポテンシャルの有効利用が重要なキーワードとなっている。その一形態として、一基当りの発電量が大きい大形洋上風力発電の促進が国の喫緊の戦略課題になっている。本研究では、近年主流の逆回転風車を利用した近接配置ではなく、同方向回転風車を含む風車ペア・風車トリオから成る風車クラスターについて、後流の偏向を加味した密集配置の仕方による総出力の違いを系統的に探索する。3Dプリンタで出力され、表面仕上げ加工が施された模型風車(直径D = 50 mm, 高さH = 43.4 mm, 3枚翼)を風洞実験対象とする。初年度は風車回転数と風車出力の実測値の関係式に基づき、12台の回転計(小野測器製HT-5500)で得られる各風車回転数を、3台のA/Dコンバータ(タートル工業製TUB-0412ADSM-S2Z)を介してPC上で風車出力に自動換算し、風車クラスターの総出力をリアルタイムで49インチモニターに表示しながら、風車取付けの微調整を行うシステムを構築した。また、4組の風車ペアから成る合計8基の風車クラスター(Vertical-Axis Wind Turbine cluster: VAWTc)を実験対象とし、回転ステージ上でVAWTcの向きを12方向に変更し、かつgap/Dの値を0.1から2まで変更できるような直動ステージを設置した。これにより、基準風向(アジマスθ = 0°)における前列風車4基の真後ろに後列風車4基を並べる市松配置(基準配置)と前列風車4基の中心線の真後ろに後列の片方の風車ペアの中心が来る千鳥配置(比較配置)の二種類の実験準備が整った。
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