研究課題
2023年度は固液分離に関する考察、乳牛糞尿スラリーの細胞遺伝毒性評価、水溶性蛍光 Al3+プローブの開発と論文化に従事した。以下に概要を示す。1)望ましさ関数を用いたボックス・ベンケン設計による酪農堆肥スラリーの固液分離のための化学凝固の応答曲面最適化:・乳牛の糞尿スラリーの処理には、化学凝固剤であるPACとCPAMが使用された。・Box-Behnken設計に基づくRSMを使用して最適化された。・モデルは最適条件下で99%の固体分離効率を予測した。・最適濃度はpH7でPAC 75 mg/L、CPAM 35 mg/Lであった。・残留Al濃度(0.045 mg/L)により処理済み水の安全な再利用が保証された。2)二段階化学凝固法と電気凝固法による生および処理済み乳牛糞尿スラリーの細胞遺伝毒性:アリウムセパバイオアッセイの応用:・2段階の化学処理と電気凝固処理を実施した。・酪農堆肥スラリーの固液分離に成功した。・A. cepaバイオアッセイにより毒性を軽減しながら処理の有効性を確認した。・処理された液体画分の安全な廃棄または再利用を保証する。・A. cepaバイオアッセイは評価のための貴重なスクリーニングツールとして機能する。3)二段階化学凝固法と電気凝固法による生および処理済み乳牛糞尿スラリーの細胞遺伝毒性:アリウムセパバイオアッセイの応用:・フェニルスルホニル-2-ピロンをベースにした水溶性蛍光Al3+プローブ(PSP)を開発した。・PSPは水性媒体中で580nmでAl3+に対する蛍光増強を示す。・PSPは乳房細胞と小型水生生物に蓄積されたAl3+を正常に検出した。
2: おおむね順調に進展している
様々な手法で固液分離条件の最適値、分離後の安全性、および蛍光プローブの適用性が確認できた。
電解処理法をスケールアップする場合はどうしてもコストの問題が発生してしまうので、できるだけ前段階で一定レベルの処理ができていることが望ましい。また、水処理技術としてはオゾンの添加やウルトラファインバブル(UFB)といった新しい手法の提案もあり、その抱き合わせで最良の処理法を確立していきたい。
初年度に予定していたよりも使用額は少なくその影響で多少の変動があるが、実験計画に影響することはほぼない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Science of The Total Environment
巻: 915 ページ: 170001
10.1016/j.scitotenv.2024.170001
Analytica Chimica Acta
巻: 1299 ページ: 342436
10.1016/j.aca.2024.342436
Heliyon
巻: 9 ページ: e17632
10.1016/j.heliyon.2023.e17632