研究実績の概要 |
Per- and polyfluoroalkyl substances(PFAS)は日本国内の環境中から検出されており,広範囲に渡って存在していることがわかっている。PFASはその便利な性質から,我々が使用する身の回りの製品にも使用されているため,その使用や廃棄による環境への影響について評価する必要がある。今年度はガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)で測定可能な9種のPFASについて防水加工スプレー剤を対象に実態調査を行い,使用や廃棄による環境への負荷量を評価した。また,防水加工スプレー剤の製造年代の違いによるPFASの種類の特徴についても調査を行った。 その結果,購入時期不明~2016年購入の過去試料では1H,1H,2H,2H-Perfluorodecan-1-ol(8:2 FTOH)がよく使用されていたが,2022年購入品では1H,1H,2H,2H-Perfluorooctan-1-ol(6:2 FTOH)が主成分であった。過去試料では8:2 FTOHや8:2 FTAcrなど構造式の一部にC8F17を持つPFASが主成分であったが,2022年購入試料ではC6F13を持つ6:2 FTOHや6:2 FTMAcrが主成分であった。8:2 FTOHからはPFOAが生成することが報告されているため,多くのメーカーは8:2 FTOHの使用を避け,6:2 FTOHを使用していることが推察された。 近年,河川中でのC6F13の構造式を持つPFHxAの存在割合が増加していることから,6:2 FTOHなどの構造式にC6F13を持つ化合物の環境挙動については優先的に研究が必要であると考えらられた。 防水加工された繊維製品や化粧品を対象にした調査では対象とした9種PFASは検出されず、PFASの使用実態については引き続き調査が必要であることがわかった。
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