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2022 年度 実施状況報告書

現代タイ社会における死と葬送の変容-現代バンコクの葬送実践についての基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K12514
研究機関大阪大学

研究代表者

村上 忠良  大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (50334016)

研究分担者 日向 伸介  大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (60753689)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード葬制 / 現代タイ社会 / 文化人類学 / 近代史
研究実績の概要

本研究は、20世紀初頭から現在に至るまでの約100年のあいだのタイ国の首都バンコクとその周辺地域における葬送実践の変容を明らかにすることを目的としている。特に、葬送実践を①「法的・行政的制度化」、②「分業化・専門化」、③「共同体化」、④「個別・特殊な物語化」という4つのトピックに分けて、近現代のタイ社会における「死」の諸相を明らかにする。今年度は、4つのトピックのうちの②「分業化・専門化」の観点から、バンコクにおける火葬施設の歴史と現状についての情報を収集した。そこで明らかになった内容は以下の通り。
1.20世紀初頭からバンコクにおける衛生的な遺体処理が大きな課題となっており、近代的な火葬施設の必要性が高まっていたこと。
2.立憲革命(1932年)以後のタイ国政府は、公的サービスとして近代的な公営火葬施設の建設を計画していたが、建設計画は中断された。しかしその後バンコク市内の仏教寺院に近代的な火葬場が建設され、バンコク都内で近代的な火葬が広く実施されることとなった。
3.バンコク都内では、ほぼすべての火葬場は仏教寺院に併設されたものであり、また、その運営形態は寺院による直営火葬場と、公務員の福利厚生の一環として設立された葬儀互助会が運営する火葬場があること。
4.火葬場を併設する寺院は同時に葬儀場の機能も有しており、仏教寺院の空間内で「葬儀から火葬まで」の一連の葬送過程が行われていること。また一度に数多くの葬儀・火葬を実施できる大規模施設を有する仏教寺院が存在していること。
以上の4点から、伝統的なタイの葬送実践において火葬と直接には結びついていなかった仏教寺院が、バンコクにおいては火葬施設を併設し、近代的な火葬の機会を広く社会に提供する場となり、また葬儀場としても機能するようになってきたプロセスを明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、4つのトピックのうちの②「分業化・専門化」の観点から、バンコクにおける火葬施設の歴史と現状についての基本的な情報を収集することができた。バンコクにおける火葬施設の変遷を一つのガイドラインとして、今後の近現代タイ社会の葬送実践研究の研究につなげていくことができるため。
タイのシンラパコーン大学の研究者と共同研究を行い、タイにおける近代的火葬施設の歴史について詳細な資料と知見を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

次年度は、②「分業化・専門化」についてのさらなる資料の収集・分析、さらに②のトピックの背景となる①「法的・行政的制度化」についての資料の収集・分析とを行う予定である。具体的には仏教寺院に併設される火葬施設の変遷や火葬場・葬儀場の機能特化に関する分析に加え、民間葬儀社による葬儀サービスの提供の実態把握、さらに葬送実践の社会的背景となる火葬施設に関する法令、葬式互助会の形成などについての情報の収集を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた旅費との差額が発生したため。次年度使用額は、主として次年度の調査旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] シンラパコーン大学(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      シンラパコーン大学
  • [学会発表] Burning Inequality: a Social History of Dead and Modern Crematorium in Thailand after the 1932 Revolution2022

    • 著者名/発表者名
      Chatri Prakitnonthakan, Shinsuke Hinata
    • 学会等名
      Osaka University Forum for Area Studies 158th Workshop

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公開日: 2023-12-25  

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