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2023 年度 実施状況報告書

ケイパビリティ・アプローチによる分析を用いた東日本大震災被災者の生活再建動向調査

研究課題

研究課題/領域番号 22K12561
研究機関東北大学

研究代表者

鴫原 敦子  東北大学, 農学研究科, 学術研究員 (80359538)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード東日本大震災 / 原発事故 / 被災者支援 / 復興 / 生活再建
研究実績の概要

本研究実施期間の2年目にあたる本年度は、主に以下の3点の活動を軸に研究活動を行った。
まず第1に、宮城県における原発事故後の被害および生存基盤の変容を捉える調査対象地域としている「県北エリア」と「県南エリア」のうち、特に県北エリアにおける現地調査と聞き取り調査を実施した。宮城県北地域では、震災後長らく地域社会の課題として取り残されていた放射性物質汚染廃棄物処理をめぐって自治体ごとに新たな動きが生じたことから、その事実関係の把握と住民及び地域社会の動向を捉えるための現地調査を実施した。
第2に、昨年までに実施した調査結果に基づく成果公開活動を精力的に行った。福島県外地域における原発事故後の地域再生の課題について、他県の研究者と連携して実施した調査結果の『自治総研』への論文投稿(共著)の他、原発事故後の被害と「復興」を問う共編著書『3.11からの平和学-「脱原子力型社会」へ向けて』(日本平和学会編、明石書店、2023年12月)の発刊、津波被害からの復興検証を行う千葉昭彦他、みやぎ震災復興研究センター編『東日本大震災100の教訓:復興検証編』の分担執筆にも参加した。
第3に、他県での災害復興関連研究者との連携を図った。主に岩手県を中心に活動が展開されている災害文化研究会の研究集会登壇などを通して、岩手県、福島県で原子力災害後の復興検証などの研究活動を行ってきている研究者との連携を持つことができた。またみやぎ震災復興研究センター主催で、阪神淡路大震災後の復興はじめ能登半島地震も含めた災害復興関連研究に関わる研究者が会する交流集会の運営に関わり、今後の調査研究の展開を見据えて研究交流を図った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に引き続き、予備的聞き取り調査を実施した。初年度はコロナ感染拡大のため現地での聞き取り調査を制約せざるをえなかったが、今年度から聞き取り調査を開始した。調査を通して、個々人の生活再建状況の動向は、震災以前からの生活状況と重なり極めて多様化していることに加え、時間の経過とともに複雑性を増しており、地域ごと、属性ごとでの類型化が極めて難しい状況にあることが確認された。とりわけ原発事故後の影響や被害状況が社会の中で表面化しにくいまま時間が経過しており、調査を通して事実関係を追うこと自体が困難な状況になりつつあることをあらためて認識した。今後も引き続き聞き取り調査を継続的に実施していく。

今後の研究の推進方策

今年度は、当初の研究計画時には表面化していなかった地域の課題が浮き彫りになり、現在進行形で進む事実関係を追うことが中心課題となったが、来年度は、当初の計画に沿って、一定の地域あるいは属性対象における量的調査(アンケート調査)の実施に向けて調査票作成を進めていく予定である。
なお、複合災害後の被災者が抱える課題の包括的把握を行うための調査方法を適宜見直し、例えばテーマ別・地域別に調査手法を変えることも含め検討していく。とりわけ原発事故被災者の生活再建状況については、聞き取り調査をもとにした、談話分析の手法を取り入れることを併せて検討していく予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 原子力災害後の初期対応・除染に関して福島近隣県が抱える課題-茨城・栃木・宮城の自治体アンケート調査分析から-2023

    • 著者名/発表者名
      鴫原敦子・清水奈名子・原口弥生・蓮井誠一郎
    • 雑誌名

      地方自治総合研究所『自治総研』

      巻: 通巻537号 ページ: 67-87

    • DOI

      10.34559/jichisoken.49.537_67

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 原子力災害後の健康調査に関して福島近隣県が抱える課題-茨城・栃木・宮城の自治体アンケート調査分析から-2023

    • 著者名/発表者名
      清水奈名子・鴫原敦子・原口弥生・蓮井誠一郎
    • 雑誌名

      『宇都宮大学国際学部研究論集』

      巻: 第56号 ページ: 15-26

    • DOI

      10.50848/psaj.580116

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 地球環境問題の新たな局面とSDGs2023

    • 著者名/発表者名
      鴫原敦子
    • 学会等名
      日本科学者会議東北地区シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 災害とショックドクトリンー分断の契機に抗うには―2023

    • 著者名/発表者名
      鴫原敦子
    • 学会等名
      2023年度災害文化研究大会
    • 招待講演
  • [図書] 3.11からの平和学-「脱原子力型社会」へ向けて2023

    • 著者名/発表者名
      日本平和学会編(佐々木寛・鴫原敦子編著)
    • 総ページ数
      233
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      978-4-7503-5677-8

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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