研究課題/領域番号 |
22K12562
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
溝上 智惠子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 副学長 (40283030)
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研究分担者 |
辻 泰明 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30767421)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 移民研究 / カナダ / アメリカ / 映像技法 / 日系人 |
研究実績の概要 |
本研究では、第2次世界大戦時に特定の民族を対象に強制収容を実施したアメリカ合衆国(以下「アメリカ」という)とカナダにおいて制作された、自国民対象の政策を正当化するプロパガンダ映像及び敵性外国人収容施設映像を対象に、詳細なコンテンツ分析を行うとともに、カメラ・アングルやカット割という映像技法の視点からの分析を併せて行い、エスニシティ表象の国際比較を行うことを目指している。なお、本研究では、移民に対するホスト社会の「眼差し」をめぐる両国の特徴や違いを可視化することにより、プロパガンダ映像の国際比較を通じて移民研究の深化をも目指すものである。 2022年度は、第2次世界大戦中のプロパガンダ映像に関して、アメリカとカナダにおける日系人収容に関するドキュメンタリー映画を中心とした様々な調査結果について分析と考察を進めた。また、映像分析の手法に関する最新の知見を収集し、先行研究の分析と考察をおこなうとともに、日系カナダ人収容先の生活状況に関する資料について、国内外の先行研究に関連する情報を収集することができた。一方、新型コロナウイルス感染症拡大のため、カナダへ渡航することが難しかったので、カナダ映画庁アーカイブにおいて予定していた「Of Japanese Descent An Interim Report」の制作関連文書の収集を実施することはできなかった。 アメリカの強制収容に関連して、同国のハワイ州では一部の成人男性を中心とした強制収容が実施され、ほぼ全ての日系人を対象にしたアメリカ本土の西海岸とは異なる状況にあったことをふまえ、ハワイ州の状況を研究しているアメリカ・オハイオ州の大学教員との意見交換をおこない、今後の研究の展開にあたり、貴重を示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、日系カナダ人の収容先の生活状況に関する資料について、国内外の先行研究の情報を収集することができたものの、新型コロナウイルス感染症拡大のため、カナダへ渡航することが難しかったことから、カナダ映画庁アーカイブにおいて「Of Japanese Descent An Interim Report」の制作関連文書の収集を実施できなかった。ただし、アメリカに関してはアメリカ本土とは異なるハワイ州の状況について新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
日本、カナダおよびアメリカにおいて新型コロナウイルス感染症にかかる水際・渡航措置が大幅に緩和されたので、日系カナダ人収容先の生活状況に関する資料について、カナダ映画庁アーカイブをはじめ、カナダ国立図書館文書館、カナダ日系博物館において関連資料の収集と分析を行う予定である。 また太平洋沿岸地域の日系人史を研究し、エスニック・スタディを専門とするアメリカ・ワシントン州の大学教員と2023年4月に日本において意見交換を行う予定であり、これらにより得られる知見をもとに、現在も大規模な移民社会であるアメリカとカナダの両国の特徴や違いについて記録映像資料をもとに明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、カナダへ渡航することが困難だったため、次年度使用額が生じた。2023年度は北米地域において、関連情報の収集と関係者のインタビュー調査を実施する予定である。
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