研究課題/領域番号 |
22K12563
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
妹尾 裕彦 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70451739)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | サブサハラ・アフリカ / 食糧 / カロリー / 自給率 / 穀物 / イモ / バナナ / プランテン |
研究実績の概要 |
本年度は、第一に、前年度末に着手していた、SSA各国の食糧生産量と食糧純輸入量等から構成される食糧消費量や、それによる摂取カロリー量の構成変化等を時系列で分析するためのデータの整形・加工作業を、さらに進めた。 第二に、上記に基づき、SSAにおける食糧供給と消費の全体像を数量的に把握する作業を進めた。SSAでは食糧として、穀物のほかに、イモ・バナナ・プランテンが大きな役割を果たしている。そこで、SSAにおける16種の食糧(穀物9種、イモ5種、バナナおよびプランテン)の食糧毎の供給量と消費量を、重量値から産出エネルギー(kcal)に換算し、それらを合算することで、SSAにおける全食糧の供給量と消費量をカロリーベースで把握するフォーマットを開発し、実際に算出した。その際、供給量を構成する内訳と、消費量を構成する内訳についても把握できるようにした。 これより、以下のことを明らかにできた。(1)SSAの食糧自給率の変遷。これは、大きく低下する時期とそうではない時期がある。(2)SSAにおける各食糧の生産量の相対的重要度の変遷。カロリーベースで最も多く生産されている食糧は1960年代からメイズであり続けているが、2番目以降については、大きな順位の変化が見られる。(3)SSAにおける各食糧の供給量の相対的重要度の変遷。カロリーベースで最も多く供給されている食糧が一貫してメイズであるのは生産量と同じだが、2番目以降については、生産量と比較しても変遷に違いが見られる。 第三に、上記に基づき、SSA各国のカロリーベースの食糧自給率算出とその推移要因の検討にも踏み込んだ。まず、もともと各国の食糧自給率の年次データが公表されていないため、SSA各国のカロリーベースの食糧自給率を時系列で算出する作業を進めた。その上で、これの各国間の相違の分析にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた計画の一部を実行できなかった反面で、想定以上の成果を得られた面もあったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、食糧自給率の変動要因の解析に取り掛かったところであるが、分析手法の点で詰め切れていない面があるので、これを詰め切ることにまずは注力する。そのために、研究仲間にも相談し、アドバイスをもらう予定である。そのうえで、解析を終えたら、論文としてまとめ上げるつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は、第一に、前年度に10万円単位の前倒し請求を行っており、もともとその残額があったこと、第二に、前年度と比較して遠方への国内出張が大きく減ったこと、第三に、物品の調達、とりわけ有料データベースの契約を先送りしたこと、等があげられる。 このうち第一の点と第二の点は関連しており、前年度(2022年度)は当初予定よりも遠方への国内出張が多く発生し、旅費がかさんだために、前倒し支払請求を行なっていたが、今年度(2023年度)は、当初予定よりも遠方への国内出張が少なくなり、旅費の支出が大きく減少したことによる。また第三の点については、ドル建ての有料データベースの価格高騰が関係している。当該データベースの価格は、本研究課題の応募時(2021年夏)には日本円換算で約10万円程度であった。ところが、その後の2年を経て、いざ当該データベースの契約に踏み切ろうとしたところ、日本円換算で約30万円程度に跳ね上がっていた。これは、当該データベースのドル建て価格自体が値上げされたことに加えて、為替レートの変動(円安)が重なったことによるものである。そこで、当該データベースの契約をひとまず先送りし、代替データの入手・利用可能性等を判断することとした。 次年度も、主に物品費や旅費等に使用する。
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