研究課題/領域番号 |
22K12585
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10211476)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 観光業 / ポスト・コロナ社会 / 構造変化 |
研究実績の概要 |
本研究はポスト・コロナ社会における観光業と観光地の構造変化について検討を加えることを目的としている。 令和4年度の研究成果としては、中学校の修学旅行を事例とした、全国の旅行圏の抽出がある。ビフォア・コロナにおいては、修学旅行は東京を目的地とする地域と、京都・奈良を目的とする地域とに大きく2分されていた。しかし、新型コロナウィルスの流行により令和2年度には県内旅行が増加、3年度には地方単位での旅行圏が形成されている。その内容を見ると、コロナ以前から修学旅行の誘致に力を入れ、体験活動などを充実させてきたいくつかの地域がコロナ禍においても逆に集客力を強めていることが明らかになった。このような動向は、ポスト・コロナ社会の動向にも影響を与える可能性がある。この研究成果に関しては、日本地理学会2023年春季学術大会において報告した。 この他、福島県内の温泉旅館を対象として実施した新型コロナウィルスの流行が企業経営に与えた影響に関する調査を論文にまとめた。 この他の調査地域に関しては、令和4年度においては新型コロナウィルスの影響が残り、調査に遅れが出たものの、研究対象地域である静岡県の修善寺温泉を含む静岡県東部の温泉観光旅館に関するデータを収集することができた。データ分析に関しては5年度に持ち越したが、コロナの流行と、様々な旅行支援策がもたらした影響を、宿泊施設単位で分析を深めていく予定である。また、これにあたっては地域のDMOとの関連など、観光業の存立基盤に関する地域調査を並行して行い、観光業と地域との関連に関しても分析を深める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの流行により、現地調査などを行うことが制約されたが、基本データに関しては、ほぼ順調に収集できている。また、予定に含まれていなかった修学旅行の旅行圏の分析を通して、本研究の目的である「地帯構造モデル」を考察するための新たな視点を得ることができた。 収集したデータに関しても順次分析を進め、学会において発表するとともに、論文化を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては、まずデータ収集が進んでいる修善寺温泉など静岡県東部の観光業に関して、現地での補足調査を加えながら分析を進める。一定の結果がまとまった段階で、学会発表などを行い成果を公表する。 合わせてその他の調査対象地域においてもデータ収集と現地調査を進める。調査対象は当面国内の地域に限定するが、海外調査の再開も視野に入れて資料収集を進める。具体的にはアメリカ合衆国グアム島政府の公表データを収集・分析し、新型コロナウィルスの流行がグアム島の観光に与えた影響に関して分析する。国内では、沖縄の観光業を対象にして調査を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度はまだ新型コロナウイルスの影響が大きかったため、対面調査などが行いにくい状況が続いていた。その結果、次年度使用額が生じることになった。 令和5年度に関してはこのような制約がなくなるため、積み残しになっていた調査を実施することによって残額を使用する。
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