研究課題/領域番号 |
22K12598
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
平松 裕子 中央大学, 経済研究所, 客員研究員 (30649629)
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研究分担者 |
原田 康也 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)
森下 美和 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (90512286)
伊藤 篤 中央大学, 経済学部, 教授 (80500074)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 言語景観 / デジタルサイネージ / 日本文化 / 翻訳 / 観光 |
研究実績の概要 |
2018年からの日光及び神戸における調査を土台に、言語景観調査を実施し、この結果をもとに文化特性に関しての考察を進めた。日光同様に神戸に関しても継続調査を進め、言語景観の経年変化を観察した。 日光における外国人観光客へのヒアリングは2022年度はコロナの影響で実施できなかったが、研究者がニューヨークを訪れ、リードケースとしてのマンハッタンにおける言語景観調査を実施することで、比較研究の糧とした。その成果として、共通点及び相違点をあぶり出すことができ、日本文化が沿道に掲示された言語景観に表れている点を整理できた。 また文化的特性に加え、経年変化、特にマンハッタンにおけるデジタルサイネージの台頭から、現代社会における言語景観の変化、日光における今後の言語景観の変化の兆しが明らかに把握できた。掲示媒体の相違は手段のみでなく、掲示内容にも影響を与えている。例えば、従来の沿道の言語掲示の1つのパターンに、矢印とともに店の所在を示すものがあったが、デジタルサイネージの掲示語句には、その場所と明確につながらないものが頻出していた。インターネット上の広告に近い掲示や、一度に複数箇所に同じ内容を出す、ニュースなどが変化しながら掲示されていた。そしてこのような掲示はマンハッタンに限定されるものではなく、日光においても2018年と比較すると増加している。地域特性の掲示はどうなっていくのか検討を続けていく。 当初の予定に加えて、研究者の中には台湾やオーストラリアに滞在したメンバーがおり、言語景観調査をそれらの地域においても実施した。その成果もまた併せて検討する課題となった。 以上のような調査結果をもとに、各研究者は国内研究会、国際学会などで精力的に発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
言語景観自体に関しては、当初の計画どおりに実施できた。 1点、コロナの影響があり、日光における外国人観光客に対する調査は、2022年には実施ができなかった。 しかし、研究者が海外に渡航することは可能であったので、アメリカ、オーストラリア、台湾における言語景観調査、翻訳に関する課題を明らかにすることができた。他地域との比較を実施することができ、それによって文化特性に関しての調査研究は進展した。また、学会における発表も各研究者が積極的に実施していた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も日光、神戸、また比較対象として海外も含め言語景観調査を継続する。 加えて、2022年度に実施が叶わなかった訪日外国人観光客に対する調査を日光において実施する。複数の国からの観光客への調査を実施することで言語景観をどう捉えるのか、共通点と相違点を明らかにしたい。 また、各自の学会発表に加え、学会におけるオーガナイズドセッションの企画なども実施し、研究に関して発表するとともに、意見交換を行い、研究の充実を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響によって外国人観光客への対応が十分とはいえず、2023年度に当初予定の調査やヒアリングを強化した形で実施を予定している。
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