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2023 年度 実施状況報告書

文化観光の波及効果に関する国際比較研究―クリエイティブ産業への資金循環に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 22K12606
研究機関摂南大学

研究代表者

後藤 和子  摂南大学, 経済学部, 教授 (00302505)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード現代アートと文化観光 / アートフェア / 美術市場の税制 / 美術品の価値評価 / フリーポート / 伝統工芸と文化観光
研究実績の概要

2020年に文化観光推進法が制定され、文化庁も文化観光に関する様々な政策を行っている。文化庁によれば、「文化観光とは、「有形又は無形の文化的所産その他の文化に関する資源(文化資源)の観覧、文化資源に関する体験活動その他の活動を通じて、文化についての理解を深めることを目的とする観光」である。近年、外国人観光客が増加している現状に鑑みれば、外国人が日本の文化を体験する場を整備するとともに、そこでの消費が文化へと再投資される仕組みが求められる。
文化観光には様々なものがあるが、現代アートに触れる体験もその1つである。現代アートと自然の風景や生活文化が融合した瀬戸内海の直島も、外国人観光客の人気を集めている。そうした中で、日本にかけているものの1つにアートフェア等を目的とする文化観光がある。日本の美術市場規模は、対GDP比でみても非常に小さい。日本に現代アーティストがいないわけではなく、海外で高い評価を受けているアーティストもいる。なぜ、日本では美術市場の市場規模が小さく、アートフェア等が未発達なのだろうか。
その原因として様々なことが指摘されているが、本研究では、経済学的観点から美術市場をめぐる税制に注目した。その理由は、美術市場の税制に関してほとんど研究が行われていないからである。近年、アートフェアや海外からの作品を展示するギャラリー設置のハードルを下げようとフリーポート(経済特区)も導入された。他に、指摘されるのは現物寄付の際の寄付税制における美術品の評価方法や相続税等である。
こうした問題を検討し、学会発表を基に書き上げたのが「美術市場と税制」という論文である。
他には、伝統工芸分野において、文化観光が伝統工芸産業の活性化に寄与するための条件を明らかにするために、文化経済学会<日本>の中に、「産業としての伝統工芸研究会」を立ち上げ、共同研究を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究のスタート時には、まだ、新型コロナ感染症の影響があったため海外への渡航が難しく、国際比較研究が遅れていた。2023年度からは徐々に遅れを取り戻すように努めている。

今後の研究の推進方策

美術市場に関する論文が掲載されたため、今後は、産業としての伝統工芸研究会の共同研究に注力しつつ、伝統工芸分野の文化観光のあり方に関して研究を深めていきたい。また、2024年から特に顕著になったオーバーツーリズム問題に関しても、文化観光における資金循環に着目して京都市等を事例に分析を行ってみたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症で、この研究プロジェクトの開始時期に国際学会への参加や現地調査が実施できなかったために未使用額が生じた。今後は、国内外の調査や学会参加に研究費を使用したい。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] IULM大学/カターニャ大学(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      IULM大学/カターニャ大学
  • [国際共同研究] エラスムス大学ロッテルダム(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      エラスムス大学ロッテルダム
  • [雑誌論文] 伝統工芸産業におけるエコシステムの進化と海外展開 -刃物産業に着目して-2024

    • 著者名/発表者名
      後藤和子・高島知佐子
    • 雑誌名

      文化経済学

      巻: 21巻第1号 ページ: 46-57

    • DOI

      10.11195/jace.21.1_46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書評:有賀 健著『京都 未完の産業都市のゆくえ』新潮社、2023年2024

    • 著者名/発表者名
      後藤和子
    • 雑誌名

      文化経済学

      巻: 第21巻第1号 ページ: 78-80

    • DOI

      10.11195/jace.21.1_78

  • [雑誌論文] 美術市場と税制2023

    • 著者名/発表者名
      後藤和子
    • 雑誌名

      租税理論研究叢書『人権と税制・税務行政』

      巻: 33 ページ: 157-173

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 第22回国際文化経済学会(ACEI)大会レポート2023

    • 著者名/発表者名
      後藤 和子, 江上 美幸, 志村 聖子, 高良 佑樹, 高島 知佐子, 谷口 みゆき
    • 雑誌名

      文化経済学

      巻: 第20巻第2号 ページ: 28-31

    • DOI

      10.11195/jace.20.2_28

  • [学会発表] デジタルアーカイブの産業化とは?(経済学からみた視点)2024

    • 著者名/発表者名
      後藤 和子
    • 学会等名
      デジタルアーカイブ学会産業とデータ・コンテンツ部会
    • 招待講演
  • [学会発表] Creativity of crafts : How and why the agglomeration of craftspersons and small businesses stimulates innovation in crafts industries2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuko Goto and Chisako Takashima
    • 学会等名
      Association for cultural economics interenational
    • 国際学会
  • [学会発表] 文化支援の理論・現状・課題2023

    • 著者名/発表者名
      後藤 和子
    • 学会等名
      日本財政法学会
    • 招待講演
  • [学会発表] SDGsで読み解く淀川流域2023

    • 著者名/発表者名
      後藤 和子
    • 学会等名
      第19回世界湖沼会議に向けたワークショップ
    • 招待講演
  • [図書] 人権と税制・税務行政2023

    • 著者名/発表者名
      後藤和子ほか978-4-88177-603-2
    • 総ページ数
      199
    • 出版者
      財経詳報社

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公開日: 2024-12-25  

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