研究課題/領域番号 |
22K12608
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 雅 広島工業大学, 工学部, 教授 (70273464)
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研究分担者 |
金澤 雄記 広島工業大学, 工学部, 准教授 (40646270)
光井 周平 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (70612026)
天満 類子 九州大学, 人間環境学研究院, 学術協力研究員 (10648512)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 宮島町家 / 外観デザイン / 建築構造 / 街路景観 / 文化的景観 |
研究実績の概要 |
本研究では、宮島を主たるフィールドとして、歴史的まちなみを有する観光地における街路空間のさらなる質的向上を目指した研究である。宮島のまちなみ景観は江戸期から昭和初期にかけて建造された木造の「宮島町家」の風情が最も重要な要素となっている。町家の保存を検討する際には、外観デザインと建築構造の相互関係を十分に踏まえた上で保存方法を検討し、それがまちなみの形成にいかに反映されるかを考慮する必要がある。そこで、「宮島町家」の外観デザイン特性と構造的特性の基礎的知見を整理していくとともに、良好なまちなみ景観を形成するための外観デザイン指針および構造的保全手法の提示を目指した技術的検討を行うことを目的とする。 宮島のまちなみ景観の4つの分析項目について現地調査等に基づく分析を行っている。(1)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の外観デザイン特性の分析(主担当:金澤):現存する宮島町家や他地域の町家の外観デザインの実測調査に基づいて、外観デザインと建築年代や生業との関係や、外観デザインの共通性や異質性について考察を進めている。(2)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の建築構造特性の分析(主担当:光井):現存する宮島町家の現地調査にもとづき、宮島町家の持つ構法的特徴を整理するとともに、耐震診断を実施して地盤特性も考慮した耐震性能に関する分析を進めている。(3)まちなみ景観の構成要素である市街地の文化的景観の分析(主担当:天満):宮島に残されている厳島図会などの過去のまちなみ景観が推測できる史料や業種の変遷を推測できる屋敷帳などの史料から文化的景観の形成に関する分析を進めている。(4)まちなみ景観の構成要素である市街地の街路景観の分析(主担当:伊藤):宮島の街路上におけるライフライン設備の実態を調査していくとともに、景観阻害要因となっている設備が景観へ与える影響度合いの評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、研究はおおむね順調に進展しており、各項目について下記のような調査・分析が進行中である。 (1)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の外観デザイン特性の分析(主担当:金澤):本年度は宮島町家の特に1列2室の狭小町家に着目し、建築年代や生業などの影響による発展の変遷を明らかにすることを目的とした。また町家建築は他地域と比較することで対象地域の建築的特徴が顕著に表れるため、継続して鳥取県米子市の旧米子城下町と、新規として山口県防府市の防府天満宮参道の町家、ならびに山口市阿知須の港町の比較調査を行った。 (2)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の建築構造特性の分析(主担当:光井):宮島町家の代表的な平面形状を有する3棟の町家を対象に実測調査に基づく耐震診断を実施した。また、常時微動計測を行って建物と地盤の振動特性について比較した。水平動用2台と上下動用1台の計3台の振動計を1組として2箇所同時に測定を実施した。地盤特性は鉛直(V)と水平(H)のスペクトル比(H/V)を求め、建物特性は水平動下部と上部のスペクトル比を求めて評価を行った。 (3)まちなみ景観の構成要素である市街地の文化的景観の分析(主担当:天満):宮島に残されている厳島図会などの過去のまちなみ景観が推測できる史料や業種の変遷を推測できる屋敷帳などの史料から文化的景観の形成に関する分析を行った。 (4)まちなみ景観の構成要素である市街地の街路景観の分析(主担当:伊藤):宮島・町家通りを対象に、官民境界線を基準として、建物の有無や建築物のでっぱり/ひっこみの状況を計測することによって、街路景観に及ぼす影響の検討のための基礎データの作成を行った。町家通りの山側に立地する建物または敷地56 件について、間口および建築物のでっぱり/ひっこみを計測し、まちなみ景観の評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の2年目となる2023年度は宮島のまちなみ景観の4つの分析項目(1)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の外観デザイン特性の分析、(2)まちなみ景観の構成要素である宮島町家の建築構造特性の分析、(3)まちなみ景観の構成要素である市街地の文化的景観の分析、(4)まちなみ景観の構成要素である市街地の街路景観の分析、について引き続き現地調査等に基づく研究活動を推進していく。 また、最終年度の3年目となる2024年度は、4つの分析項目の相互連関の分析を行うために、「伝統的建造物群保存地区」を所管する廿日市市、民間の建築家が中心となった「いつくしま・まちなみ研究会」と連携して4つの分析項目の相互連関に関する議論を行う。また、分野横断型の研究会を実施することによりまちなみ景観の形成に対する各項目の貢献度合いを明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張がオンラインに切り替わったほか、現地調査の出張が天候不良の影響により、日程調整がつかず実施できなかった。次年度において、学会発表のための出張旅費に活用するなど、有効に使用する予定である。
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