研究課題/領域番号 |
22K12619
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
種村 聡子 文教大学, 国際学部, 准教授 (20758122)
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研究分担者 |
敷田 麻実 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40308581)
永石 尚子 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (60877942)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 観光経営人材 / 人材育成 / 観光地経営 / 観光教育 / リカレント教育 / 越境学習 |
研究実績の概要 |
2010年代以降の国際観光の膨張に伴う観光人材の不足、特に経営を担う中核人材の育成は、観光事業の成長にとっての課題となっている。観光・サービス産業では、自社での人材育成費用と投下時間が他業種と比べて少ない。その不足は、地域の観光協会や地方自治体、観光庁が実施する観光人材育成プログラムに委ねられている。しかし、観光教育が高等教育レベルで体系化されて約20年の国内では、教育プログラムが標準化されていない。また、教育目的や目標が曖昧で、教育プログラムとしての体系化がないまま実施されているため、必ずしも効果的な学習プログラムになっていない。そこで本研究では、採用した学習モデルや実際のカリキュラム、学習プロセスが、人材育成プログラムの受講者の学習やプログラム受講後の行動変容に影響することを、学習者の変容や学習後の社会的成長を分析することで、効果のある学習モデルと学習を支援する仕組みを明らかにすることを目的とした。 本研究では、地域における観光経営人材を育成するための人材育成プログラムについて、プログラムのカリキュラムなど教育内容、運営組織とマネジメント、講師側と受講生の関係など教育システムの構造を事例から分析し、成果を上げている人材育成システムの条件を、次の5つから分析を試みる。①経験学習による観光人材育成プログラムで得られる能力やスキル、②地域課題を解決するカリキュラム作成手法、③経験学習による観光人材育成プログラムで有効な効果測定方法、④実社会で事業化に成功した事例と失敗した事例、⑤越境学習による行動変化である。 本年度は、文献調査、定性調査(聞き取り調査)、定量調査(調査票調査)を用いての調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、文献調査、質的調査としてインタビュー調査を実施し、国内学会発表1回と国内論文投稿1本を予定していた。 文献調査として、既存論文の整理とともに、観光庁、日本観光振興協会が過去に実施した地方自治体と観光連盟等への調査報告書の分析を行った。 観光人材育成プログラム修了者14名へZoomによる面接調査を実施した。質問内容は、観光人材育成プログラムの受講理由、受講後の意識と行動の変化などである。これらをもとに、英文論文1本を投稿し、学会誌(英文)に掲載することができた。また、2名の運営担当者への面接調査を実施した。 観光人材育成プログラム修了者へのアンケート調査を実施した。主にプログラム受講後の意識変化と行動変化について質問した。この調査をもとに、日本語論文を1本投稿し、学会誌に掲載することができた。 この2つの調査をもとに、観光人材育成プログラムの運営者ができる支援は何かを明らかにするための全国調査にむけて、アンケート調査の設計をした。これらの内容を進行中の研究として、国内学会で口頭報告した。参加者から有意義なアドバイスを受けることができ、アンケート設計の参考にした。調査会社にアンケート調査を依頼し、年度末から2023年度にかけて実施している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度末に実施したアンケート調査の結果をまとめ、データベース化をすることで、観光人材育成プログラムの基礎的なデータを整理する予定である。 また、2022年度のインタビュー調査は限定的であり、新型コロナ感染症の影響もあったためZoomで実施した。2023年度は更に全国的なインタビュー調査を実施し、修了者のみならず、運営担当者からも状況を聞き取る予定である。 これらの内容をもとに、プログラム運営者による支援の内容を分析した論文を執筆し、雑誌への投稿と学会発表を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、データベース構築のための入力の人件費を計上していたが、アンケート調査を全て終えてからデータベースを構築した方が効率的であるため、その分の予算を2023年度に使用することとした。
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