研究課題/領域番号 |
22K12620
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
大塚 良治 江戸川大学, 社会学部, 准教授 (70412335)
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研究分担者 |
崎本 武志 江戸川大学, 社会学部, 教授 (00468951)
安本 宗春 追手門学院大学, 地域創造学部, 講師 (10826069)
美藤 信也 高崎商科大学, 商学部, 准教授 (30756383)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 観光振興 / 地域連携パス / ステークホルダー / テーマパーク化 / 財務分析 / 経営戦略分析 / 事業価値 / パーパス |
研究実績の概要 |
2022年度は、研究代表者および研究分担者全員で、鉄道事業者などでヒアリング調査を行った。また、秩父鉄道SL車内で乗客を対象とした満足度調査を実施し、その結果の取りまとめを進めている。客層としては、家族での乗車、次いで1人での乗車の順に多かったが、乗車人数と満足度の間の相関関係は認められなかった。このことから、秩父鉄道SL列車は熱心な鉄道ファンに支えられていることはもちろん、「安近短」のレジャーとしてグループ客から選ばれていることが明らかとなった。レジャーとして選んでいる層は、SL乗車前後に観光地や観光施設に立ち寄る傾向も見られることも明らかとなった。長瀞が一番人気であるが、決定的な観光地とは言い難い現状があり、その原因は、長時間滞在可能な観光施設が乏しく、帰宅時間まで沿線の観光地を「はしご」する傾向があると推察されるとの結論を得た。これらの結果を取りまとめて、いずれかの学会誌へ投稿するべく準備を進めている。また、研究代表者は、「鉄道資産の『テーマパーク化』を基盤とした観光振興と鉄道活性化」(『江戸川大学紀要』33号、2023年3月)を公表した。同論文において、廃線施設を活用した観光施設について「観光振興の地域連携パス」を作成し、公表した。鉄道資産の「テーマパーク化」を進め、アトラクション性を高めることによって、鉄道ネットワークおよび地域の価値向上を実現することができること、その成果を可視化する手段が「観光振興の地域連携パス」に他ならないことを示した。今後、研究成果の学会誌への投稿を行うとともに、研究チーム全体の成果として著作にまとめるべく、2023年度以降の研究を進める計画である。また、研究分担者も研究成果の一部を、日本国際観光学会全国大会での報告などを通して実施した。引き続き、研究チーム全員で現地調査を行い、統一的な論文に取りまとめ、成果として公表するべく鋭意進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の「鉄道資産の『テーマパーク化』を基盤とした観光振興と鉄道活性化」(『江戸川大学紀要』33号、2023年3月)として公表した論文において、廃線鉄道を活用した観光施設について「観光振興の地域連携パス」の作成を試み、公表することができた。ただ、入手できたデータが限定的であったため、財務分析および経営戦略分析については代表的な指標の提示に留まった。それでも、「観光振興の地域連携パス」の原型を提示することができた。今後、「観光振興の地域連携パス」の精度を高めるため、さらに多くの事例についてパスを作成し、財務分析および経営戦略分析で用いる指標の精度および種類を充実させていく。さらに「観光振興の地域連携パス」を発展させて、観光振興事業の業績評価手法および観光振興事業のファイナンス方策への展開につなげていく。たとえば、現状では経営難や後継者不足などにより廃業を選択する旅館が多くあるが、適切な事業価値評価を行う手法とそれに基づくファイナンス方策が整備されれば、資金力のある他の運営者に継承できる可能性が高まる。また、観光列車についても、現状では、鉄道事業者が自力でファイナンスすることが大半であるが、観光列車のファイナンス市場が整備されれば、多様な資金提供者から資金を調達し、持続可能な観光列車を実現できる。観光振興事業の業績評価には、観光産業および観光資源に関する専門的知見が必要であり、観光学を専門とする研究分担者の知見を総動員して取り組む。なお「やや遅れている」を選んだ理由は、秩父鉄道SL列車のアンケート調査の結果取りまとめと、結果を解釈・考察するうえで必要な先行研究のレビューがやや遅れており、観光系学会の学会誌への投稿が未だ完了していないためである。できる限り早期に調査結果を取りまとめて、学会誌への投稿を行う。また、研究分担者の成果公表についても、順次進めるよう努める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、西武グループと大井川鐵道の調査を進める計画であったが、大井川鐵道が台風被害により一部区間の不通が続いており、全線再開後に調査を行う計画であるが、未だメドが立たない状況にある。そのため、研究計画を一部変更し、西武グループおよび北海道ボールパーク、および存廃が協議されている地域鉄道沿線地域を研究対象とすることを検討している。西武グループへのコンタクトをできる限り早期に実施し、顧客満足度調査の協力を依頼する計画である。また、北海道ボールパークについては、研究代表者が2023年シーズンの試合を観戦し、実際の施設を見学するとともに、交通アクセスの実態を視察した。ファイターズ・スポーツ&エンタテインメントの担当者へのヒアリング調査にもごく初期段階であるものの、着手しており、開業初年度ではあるが、一定の結論を得るべく調査を進める予定である。西武グループについては、多額の投資により改修工事を施したベルーナドーム(西武ドーム)および西武園ゆうえんちの調査および顧客満足度調査を西武グループの協力を得て行う計画である。特に、ベルーナドームについては、これまで西武ライオンズが来場者アンケートをインターネット上の回答フォームを通じて毎試合ごとに実施しており、当研究チームが考案した調査項目を追加していただくことは比較的容易であると考えている。実際、他大学の研究チームが西武ライオンズの協力を得て、アンケートフォームから調査を実施した実績がある。西武園ゆうえんちについては、西武グループの協力を得て、遊園地内において、顧客に対してグーグルフォームのURLを提示した形でのアンケート調査を行うべく計画を進める。ただし、西武園ゆうえんちで大学の研究チームが顧客満足度調査を実施した実績があるのか不明であるため、今後西武グループに協力を要請する予定である。大井川鐡道についても、全線再開後に調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、研究分担者である安本宗春講師の旅費が余剰になったことが原因である。2022年度の調査地の一つである高松(JR四国本社)が安本講師の住所から近く、旅費が想定よりも下振れした。2023年度は、関東以北での調査が増えるため、2022年度の余剰分を2023年度の旅費に充てるべく計画している。
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