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2022 年度 実施状況報告書

地域観光資源の保全と管理に関する研究ー観光市場の失敗の観点から

研究課題

研究課題/領域番号 22K12622
研究機関中央大学

研究代表者

薮田 雅弘  中央大学, 経済学部, 名誉教授 (40148862)

研究分担者 森 朋也  山口大学, 教育学部, 講師 (30757638)
中平 千彦  明海大学, 経済学部, 教授 (50433371)
高尾 美鈴  中央大学, 経済学部, 助教 (80909341)
金 承華  関東学園大学, 経済学部, 講師 (90828013)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード地域観光資源 / 日本遺産 / コモンプールアプローチ / 地域発展 / 地域コミュニティ力
研究実績の概要

2022年度は、コロナ禍もあり海外での調査に制約が考えられたので、主に、日本:日本遺産の現状を中心に研究を進めた。具体的には、第一に、山口県、津和野における地域観光資源の活用状況を中心に議論を進めたこと、第二に、日本遺産(瀬戸内海の備賛諸島)の現状を日本遺産認定の経緯、分析に加え、当該の日本遺産の背景としてある採石業の変遷と産業展開の統計的理解、地域住民の関与についての分析を進めており、これについては、6月の国際学会において報告をし情報交換を行う予定であることが挙げられる。また、第三に、とくに日本の農村地域における地域発展の在り方について研究を行い、査読付きの雑誌に投稿し受理されている。これは、コモンプールアプローチをベースに、日本の農村地域で行われている様々な活動の評価し「地域コミュニティ力」を算出することによって、これが地域の経済活動とその成果にどのように関係しているかを分析したものである。分析手法としては、共分散構造分析をベースとしたSEMを基にしている。また活用したデータについては、農林業センサスを利用した。2015年の単年度を対象とした分析を2010,2015,2020年のデータに拡張し、動学的要素を加味したSEMの分析をおこない論文にまとめた。
これらの研究は、いずれも、コモンプールアプローチによる地域資源の管理保全と利用のありかたをベースとしている。とくに上記第二の日本遺産の研究については、地域資源の過剰利用の状況のもとで生じる問題のほかに、資源の過少利用の結果による地域経済の衰退問題といったあらたな分析視点が重要であることが指摘できる。こうした点を包括的に考え、あるべき地域の発展施策を考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究会を定期的に開催し議論を進めている。とくに日本(山口県)における地域の観光資源の利用活用に関する議論が進み論文の成果となっている。また、全員参加による共同研究として「備賛諸島における石の文化(日本遺産)」に関してコモンプールアプロ―チをベースにした研究(日本遺産に至る経緯、遺産に関するガバナンス体制、観光との関連性、などを中心に議論を進めている。これは、「せとうち備讃諸島における地域資源のガバナンスと持続可能性」として学会報告を予定しており、内容としては、1.はじめに
問題意識の所在、2.せとうち備讃諸島の概要と日本遺産認定の経緯;各地域の概要と日本遺産登録にいたる経緯、3.我が国の採石業の変遷と統計理解;輸入石材との関係など
4.先行研究のまとめ;日本遺産の現状と課題について整理、日本遺産と観光を軸とした地域振興への寄与について分析等々、5.現地調査の概要;自治体を代表する岡山県笠岡市役所、および現地の地域住民やボランティアガイド等へのインタビュー調査とその結果
;問題意識から生じた質問内容とその回答、などを含む。加えて、6.コモンプールの理論的枠組みを用いた分析;ガバナンスに対してコモンプールの理論的枠組みを用いた分析とその結果、7.さいごに幾つかの提言;各地の振興策や地域資源の利用について経済学の視座から考察し、ガバナンスの制度設計とその持続可能性について定性的に明らかにし、地域の持続可能な発展のために必要な施策について提言する。である。

今後の研究の推進方策

日本国内に関する地域コミュニティの在り方と地域発展の関係について、数量経済分析を進めること、また、その理論的側面としてコモンプールアプローチの分析を確立させることを引き続き研究分析のタイムラインに沿って進めていくが、2023年度については、コロナの状況が改善していることを受けて、アジア諸国(ベトナム、ラオス、中国)における現地調査を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

本研究の計画にあった初年度の実態調査(国内とアジア(ラオスと中国))について、コロナ禍を事由として、十分な対応、実施ができなかった点が挙げられる。海外との研究者とは、中央大学研究所の研究会などのオンライン研究会を通じて進捗させることができたものの具体的な現地調査がコロナの理由でできなかったことが主たる理由である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 1990年以後の日本における農業集落の構造変化と農村地域の発展-縦断データによるSEM分析2023

    • 著者名/発表者名
      金承華、高尾美鈴、薮田雅弘
    • 雑誌名

      中央大学経済研究所研究年報

      巻: 55 ページ: -

  • [雑誌論文] 津和野におけるコモンズとしての鯉2023

    • 著者名/発表者名
      森朋也
    • 雑誌名

      中央大学経済研究所研究年報

      巻: 55 ページ: -

  • [雑誌論文] 山口の地域観光を題材とした異文化間コミュニケーション意識の育成2022

    • 著者名/発表者名
      セネック・アンドリュー, 森朋也, ペルラキ・デーニッシュ
    • 雑誌名

      山口学教育学部研究論叢

      巻: 72 ページ: 317-326

  • [学会発表] せとうち備讃諸島における地域資源のガバナンスと持続可能性2023

    • 著者名/発表者名
      森朋也、金承華、高尾美鈴、薮田雅弘、中村光毅
    • 学会等名
      Small Island Cultures Research Initiative
    • 国際学会
  • [学会発表] 国際空港別にみたラオスのインバウンド観光需要の動向2022

    • 著者名/発表者名
      森朋也、金承華
    • 学会等名
      国際公共経済学会第37回研究大会

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公開日: 2023-12-25  

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