研究課題/領域番号 |
22K12627
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研究機関 | 名古屋国際工科専門職大学 |
研究代表者 |
佐藤 久美 名古屋国際工科専門職大学, 工科学部, 教授 (00645632)
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研究分担者 |
岡本 耕平 愛知大学, 文学部, 教授 (90201988)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 訪日外国人旅行者 / 災害 / 避難情報 |
研究実績の概要 |
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大以降激減した訪日観光客数は,2022年度には回復しなかった.そこでフィールド調査は行わず,主として文献研究を行った. Ritchie and Jiang (2019)は,1960年から2018年にかけて発表された観光リスク、危機、災害管理に関する142本の論文をレビューしている.彼らがレビューから得た知見のうち本科研と関わるのは次の指摘である. 「観光産業は、自然災害時の避難においてしばしば役割を担っているため、緊急事態管理への統合を進める必要がある。観光産業と緊急事態管理機関の間の関係やネットワークに関する研究が必要である。観光産業と緊急事態管理機関の間の情報共有や知識構築に関する理解を深めることは、観光産業における危機管理・災害対策の強化を促すことにもつながるだろう。また、観光産業が潜在的な事故のシグナルをより的確に察知できるようになる可能性もある。」 ある地域を観光客に選ばれる観光目的地とするための戦略を ツーリズム・デスティネーション・マーケティング(tourism destination marketing)と言うが(岡田2014),その立案と実践に関わる観光産業や地方行政組織などは,自然災害多発国である日本の中で選ばれる観光地となるために,災害時に効果的・機動的に運用されるネットワークを構築し,そのことをアピールすることが観光客の獲得につながる.本研究で追求する「訪日外国人への災害情報提供の方策」はそれへの寄与が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大以降激減した訪日観光客数は,2022年度には回復しなかった.そのためフィールド調査を行うことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
日本政府観光局は2023年3月の訪日外国人旅行者数が約181万人に達し、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の同月比65.8%まで回復したことを発表した。今後は、外国人観光客が災害時に情報源として頼りにすると考えられる、日本各地の主な観光地の観光案内所や、外国人向けのガイド組織(善意通訳ガイド)、通訳案内士、訪日外国人観光を扱う旅行会社などに、緊急時に提供するために準備している情報の内容【交通情報(どうやって被災地から離れられるか)、避難手段、どのように安全を確保できるか(避難所情報も含む)】について、リサーチを行う。その上で、それらの情報を迅速、かつ的確に情報を必要としている人々に届けるための方策について、検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度はコロナ禍であったので,費用を次年度以降に回し,次年度以降に集中的に研究を行うこととした。 全国の主な観光地の観光案内所、観光ガイド組織などにアンケート調査を行うための経費として計上。研究代表者及び研究分担者が直接赴いて対面で聞き取りを行うほか、できるだけ多くの統計を集めるために、リサーチ会社などに委託するための費用とする。
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