研究課題/領域番号 |
22K12633
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
千 相哲 九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (40287909)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 観光レジリエンス / 観光ガバナンス / 竹富町 / 八女福島 |
研究実績の概要 |
観光レジリエンスの向上とガバナンスの関係を探るため、沖縄県竹富町と八女福島地区の持続可能な観光振興に焦点を当てて文献調査と現地調査を行った。両地域では観光客の誘致や地域の活性化に一定の成果が見られるが、新たな課題も浮上している。 竹富町では、自然と文化の保護を重視しつつ観光客に満足度の高いサービスを提供するため、2024年6月議会で島への訪問税の導入を提案している。しかし、この提案には観光の満足度と地元住民の幸福度の両立や、自主財源の確保と運用の課題が伴う。八女福島では、古民家の再生・活用に取り組んでいるが、次のような課題に直面している:①NPOなどが建物所有者の代わりに修理から活用までを代行するリノベーションプロジェクトの資金調達が困難。②修理工事の材料費や人件費の上昇により、修理費用が高騰し、建築主の負担が増大している。③出店の増加に伴い、駐車場の確保が難しくなっている④高齢化が進み、八女福島町並み保存会の役員や女性の登用が進まない。⑤伝統的建築物が老朽化し、解体の進行が課題となっている。 本研究では、持続可能な観光と社会の両立を図るための観光ガバナンスに焦点を当て、ステークホルダーとの合意形成が重要であることを指摘している。持続可能な観光を実現するためには、地域社会のあり方、観光振興の進め方などに関する意思決定と関係者間の合意形成が重要である点を踏まえ、そのプロセスについて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度では、当該年度の計画に加えて、前年度に実施できなかった現地調査などを行うことができた。研究結果の発表はできなかったが、令和6年9月に発表を目指して取り組んでおり、全体的に順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
地域主導の持続可能な観光を実現するために必要な財源の確保や地域住民の関与力の強化などについて、社会や組織がどのような意思決定や合意形成をし、その可能性が高まるのか、それに関連する仕組みやプロセスについて、直島・小豆島、西米良村、柳川、沖縄県東村を事例に研究を進めていく。 直島ではインバウンド客の増加と地域住民の暮らしの両立、小豆島では、持続可能な観光の取り組み、西米良村では日本版ワーキングホリデーの成果、柳川ではステークホルダーとの効果的な関係構築、東村ではコミュニティ・ツーリズムの可能性について、調査研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では多くの現地調査を予定しているが、1年目の令和4年度では新型コロナウイルス感染に注意を払ったため、計画通りの現地調査を実施することができなかった。今年度では、上半期に直島・小豆島、西米良村、下半期に沖縄県東村、柳川での現地調査を行い、その結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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