研究課題/領域番号 |
22K12645
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
飯田 昌子 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (70363603)
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研究分担者 |
長浦 由紀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60791879)
関口 愛 大分大学, 医学部, 教務職員 (30433056)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HIV陽性者 / マイノリティストレス / 治療抑制 |
研究実績の概要 |
HIV感染症に対する医療体制が整備され,HIV陽性者の平均余命は非HIV陽性者のそれと大差ない時代となった。しかし医療現場では継続的な受診や服薬が困難で,治療意欲に乏しい患者が少なくないとの報告もある。本邦におけるHIV感染経路の約7割は男性同性間の性的接触であるが,ゲイ・バイセクシュアル男性に対する根強い社会的偏見により,彼らは感染前から自身のセクシュアルティに関する過剰なストレス(以下,マイノリティストレス)を抱え,「生きる意味を見出せない」という心理状態にある。感染後もこの心理的問題は残存もしくは悪化すると思われ,そのことがHIV陽性者の治療意欲の乏しさに関与していると臨床心理学的には推論できるが,それを実証的に明らかにした研究は見当たらない。 そこで2022年度は,HIVカウンセラーの視点から,HIV感染前のマイノリティストレスがHIV感染後の心理的問題にどのように影響を及ぼしたのかという経時的変化を明らかにすることで,HIV陽性者に対する心理的援助の意義について示唆を得ることを目的とし,HIVカウンセラーへのインタビュー調査を実施した。インタビュー項目は,①HIV陽性者の治療意欲の乏しさを感じた言葉や態度について,②感染前のマイノリティストレスが,HIV陽性者の治療意欲にどのような影響を及ぼしていると考えているか,③感染前のマイノリティストレス以外に,HIV陽性者の治療意欲の乏しさに影響を与えている要因についてどのように考えているか,④HIV陽性者の心理的問題にはどのようなものがあると考えているか,などであった。現在,インタビュー調査で得られた言語データについて質的分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査協力者を募る際に必要な作業が当初予定していたよりも多かったために想定以上の時間を要したことと,言語データの分析方法の検討に想定以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の調査で得られた言語データの質的分析を進めることと,2023年度に予定している研究2「陽性者への面接調査と質的分析」を進める。研究2にかかる調査協力者を募る際に必要な作業はすでに着手している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策により,学会及び打ち合わせ等の旅費を支出しなかったため。次年度は学会が現地開催される見込みであることから,学会発表にかかる旅費を支出する予定である。また,次年度は本研究の進捗状況確認のための打ち合わせを行う予定であり,打ち合わせにかかる旅費を支出する予定である。
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