研究課題/領域番号 |
22K12648
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研究機関 | 学校法人文京学院 文京学院大学 |
研究代表者 |
赤松 淳子 学校法人文京学院 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (60723004)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | イギリス18世紀 / 結婚の破綻 / 教会裁判所訴訟記録 |
研究実績の概要 |
本研究は、婚姻における「妻の地位」と「妻の権利」をめぐる18世紀イングランドの男性たちの感情の動きから、近代フェミニズムの生成プロセスを明らかにすることを目的としている。2023年度は前年度に引き続き、一次史料の調査をイギリスの文書館で行った。8月から9月にかけてイギリスのLondon Metropolitan ArchivesとBritish Libraryにて事例研究のための史料を収集した。前者では、前年度に見ることができなかった史料のなかでもChudleighvChudleigh、Worsley v Worsley などの18世紀後半のロンドン主教裁判所の婚姻訴訟記録にあたった。British Libraryでは、同時期の姦通訴訟に関する手紙史料を調査した。研究成果の報告は2点である。ひとつは、イギリス史における時代区分をテーマとする国際学会(British East-Asian Conference of Historians 2023)での報告である。ジェンダーのセッションにて、イギリスの結婚と離婚の歴史研究における「長い18世紀」の概念の有効性について問題提起した。離婚が困難であった時代のイギリス社会におけるジェンダーを分析するための視座について複数の可能性を示した。もうひとつは公開講座における講義である。18世紀イギリスの姦通に関する自身の史料調査と研究のプロセスについて発表した。法史料に手紙史料を加え、比較分析していく方法について解説しながら、近世イギリスジェンダー史の魅力を一般聴衆に伝える機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2024年の3月にイギリスにて史料調査を行う予定であったが、事前調査に不十分な部分があった。現地では世俗裁判所の史料を見る予定であったが、それに紐づくオンラインデータベース史料をもう少し詳細に調査する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、メディア史料を十分に調査したうえで、3月にイギリスにて手紙や訴訟記録等の史料にあたる。夏までに事前調査を終え、年末年始にも調査が可能であれば調整していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年の3月にイギリスにて史料調査を実施する予定であったが、事前調査が不十分であり、渡英を延期したため、旅費を使用することができなかった。年末年始および2025年3月の調査に向けて調整していく。
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