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2022 年度 実施状況報告書

無重力下における流体アート生成の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K12680
研究機関京都大学

研究代表者

土佐 尚子  京都大学, 防災研究所, 特定教授 (40521117)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードサウンドオブ生け花 / 無重力 / 無重力アート / パラボリックフライト / 自由落下装置
研究実績の概要

パラボリックフライトを用いた無重力下のアート生成の研究:無重力下での流体アート(サウンドオブ生け花)制作を行うため、従来の制作システムをベースとして以下を行った。1)主としてスピーカーと高速度カメラからなる「サウンドオブ生け花生成システム」をベースとしてパラボリックフライトを実施する機内に持ち込むための小型システムの設計と制作を行った。2)無重力化で絵の具などの流体が広く飛び散ることを防ぐため、アクリル版を用いた四角柱の透明箱を設計・制作し問題なく動作することを確認した。3)パラボリックフライトはぶっつけ本番で失敗が許されないため、事前に重力下で準備・撮影・後始末を手際よく行う実験を十分に行なった。
自由落下装置を用いた無重力下のアート生成の研究:「サウンドオブ生け花」は1秒もしくはそれ以下の短い時間で生じるため、2m程度の自由落下で無重力下でのアート生成を行える可能性がある。R4年度は以下を行った。1)自由落下による無重力を実現するための自由落下装置の設計と試作を行なった。2)試作した自由落下装置に上記で述べたパラボリックフライトで用いた小型のサウンドオブ生け花生成装置を設置し、自由落下実験を行うことによって、パラボリックフライト下で制作した「サウンドオブ生け花」とほぼ同様の形状が生まれることを確認した。
無重力アートの3次元実体化の研究:GANsと呼ばれる新しいAIの手法を用いて、限定された複数角度に設置した高速度カメラの映像からサウンドオブ生け花の3次元モデルを得る基本プログラムを開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R4年度の研究は研究計画書に沿ってほぼ順調に進捗している。各項目の進捗状況は以下のとおりである。
パラボリックフライトを用いた無重力下のアート生成の研究:十分な準備のもとに行ったパラボリックフライトでは、ぶっつけ本番であるにも関わらず、ほぼ失敗なしに2日間、計18回の無重力下での「サウンドオブ生け花」生成実験に成功した。この過程や結果を論文にまとめ、アート&テクノロジーに関するMIT Press発行の著名な論文誌Leonardに投稿して受理された。
自由落下装置を用いた無重力下のアート生成の研究:研究計画書に示した基本設計に基づいて、小型の「サウンドオブ生け花」生成システムを搭載した自由落下装置の設計と試作を行なった。本装置を用いた微小重力下でのアート生成はまだ試験段階であるが、パラボリックフライトに基づく無重力下でのアート生成とほぼ同じ形状が得られることが確認されており、少なくとも微小重力が実現されていることがほぼ確実と考えられる。
無重力アートの3次元実体化の研究:複数の高速度カメラで撮影された「サウンドオブ生け花」の映像から3次元のモデルを復元するプログラムの製作を進め、基本動作を確認した。

今後の研究の推進方策

R4年度の研究は研究計画書に沿ってほぼ順調に進捗していることから、R5年度も研究計画書に沿って研究を進める。それぞれの研究項目に関する推進方策は以下のとおりである。
パラボリックフライトを用いた無重力下のアート生成の研究:R5年度もパラボリックフライト実験を行う予定であったが、1回の実験で当面必要な無重力下での「サウンドオブ生け花」生成映像が得られたこと、必要な予算は本科研費以外から調達する必要があることから、R5年度に関しては、その実施は他の研究項目の進捗状況を見極めながら判断することとする。
自由落下装置を用いた無重力下のアート生成の研究:自由落下装置を用いた無重力下のアート生成は極めて手軽に無重力(微小重力)を生成できる利点があるため、R5年度は自由落下装置を用いた無重力下のアート制作に注力することとする。制作されたアート映像をパラボリックフライトによる無重力下で制作したアート映像と比較することによって、自由落下装置の有効性を確認する。有効性が確認されれば、それ以降の無重力下でのアート制作は、全面的に自由落下装置を利用する体制へと移行する。
無重力アートの3次元実体化の研究:3次元モデル生成プログラムの動作確認・修正などを行い複数の高速度カメラ撮影した映像から「サウンドオブ生け花」お3次元モデルを復元する機能を実現する。
無重力アートの活用法の研究:無重力下で制作した「サウンドオブ生け花」が重力下で制作した「サウンドオブ生け花」に比較して、よりシンプルで美しい形状を作り出すことが確認されている。したがって、多くの方面への応用が可能と考えられる。その一つとしてR5年度はファッションのデザインへの応用を試みる。デジタル捺染技術を取り入れ、デザイン制作からファッション制作までを内製化できる体制を構築し、「サウンドオブ生け花」アートファッションの可能性を探る。

次年度使用額が生じた理由

物品購入費が予定より少なくなった。これは次年度に回し、旅費もしくは人件費として使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Creation of Fluid Art “Sound of Ikebana” under Weightlessness Using Parabolic Flight2023

    • 著者名/発表者名
      Tosa Naoko、Yamada Akihiro、Pang Yunian、Toba Shigetaka、Ito Azusa、Suzuki Takashi、Nakatsu Ryohei
    • 雑誌名

      Leonardo

      巻: Online ページ: 1~14

    • DOI

      10.1162/leon_a_02360

    • 査読あり
  • [学会発表] Creation of Fluid Art “Sound of Ikebana” under Microgravity Using Parabolic Flight2022

    • 著者名/発表者名
      Ryohei Nakatsu
    • 学会等名
      ADADA 2022
  • [学会発表] A Deep Learning Approach to Generate 3D Model of Fluid Art2022

    • 著者名/発表者名
      Cong Hung Mai
    • 学会等名
      EAI ArtsIT 2022
  • [学会発表] Improvement of Deep Learning Technology To Create 3D Model of Fluid Art2022

    • 著者名/発表者名
      Cong Hung Mai
    • 学会等名
      IFIP ICEC 2022
  • [学会発表] Creation of Fluid Art under Microgravity Using Free-Fall2022

    • 著者名/発表者名
      Ryohei Nakatsu
    • 学会等名
      Culture and Computing 2022

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公開日: 2023-12-25  

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