研究課題/領域番号 |
22K12684
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研究機関 | 長岡造形大学 |
研究代表者 |
板垣 順平 長岡造形大学, 造形研究科, 助教 (30557228)
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研究分担者 |
佐々 牧雄 関東学院大学, 人間共生学部, 教授 (70783380)
中本 和宏 千葉工業大学, 先進工学部, 准教授 (90581158)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Design-Based Learning / 創造的発想法 / デザイン思考 |
研究実績の概要 |
当該研究の第一年目は,既往研究において提示されたDesign-Based Learningのラーニングプロセスがデザイン思考の ①デザイン思考を示すEMPATHIZE, DEFINE, IDEATE, PROTOTYPE, TESTのフレームが公式の実行プロセスとして扱われ,発想やアイディアの自由度を低下させる。 ②他者理解や共感を通して問題の把握や課題を設定することに重きが置かれながらも,それに必要な情報を得るための修得機会が十分に設けられていない。 ③いずれの取り組みでも具体的な成果やアウトプットが求められるため,潜在的な問題の把握や試行錯誤を繰り返すことが補助的な作業として位置付けられている。 ④デザイン思考の実行プロセスが教育活動と企業活動,自治体活動等で異なるため,一貫した創造的発想法モデルとしての応用や展開が困難とされている。 などの指摘を補完する手掛かりとなり得ることを検証するために,小学生向けのワークショップを4回,企業向けのワークショップを7回,自治体向けのワークショップや研修を18回実施した。とりわけ,企業活動と自治体活動においては,それぞれに実施したワークショップや研修の事後アンケートの結果からDesign-Based Learningのラーニングプロセスがデザイン思考への理解や享受を促すとともに,製品開発や政策立案等における発想法として,デザイン思考のみを活用するよりも有用であることを学会等において提示した。今後はさらに企業活動や自治体活動において収集してきたアンケート情報等をもとに,Design-Based Learningの有用性について検討するとともに,それらの結果を査読付き論文などにまとめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究では第一年目に,既存の創造的発想法や申請者らがこれまでに実施してきた基礎研究の成果から,①観察や対話,洞察などの経験的な能力やスキルがなくても実用可能な手法,②DBLの基本的な枠組みに対応させた実行プロセスとファシリテーション方法を検討しワークシートやフローにまとめた。それらを上述したワークショップや研修等に導入しながら実証実験を行い,Design-Based Learningのラーニングプロセスの実用性について検証・評価を繰り返すとともに,適宜,これらのワークシートやフローのアップデートを行なってきた。また,ワークショップや研修の事後に実施した発想法の学習効果にかかるアンケート調査の結果を分析するとともに,それらの結果を日本デザイン学会等において発表し,有識者らからも示唆を得た。特に,教育活動においては,Design-Based Learningのラーニングプロセスをもとに,創造的発想法モデルとして実装可能な実行プロセスをブックレットとして活用し,デザイン思考のような従来の発想法とDesign-Based Learningを元にした発想法との違いについて比較検証を行った。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究の第2年目は,第1年目に実施したワークショップや研修を通して検証・評価してきたブックレットやフローを教育活動や企業活動,自治体活動等において導入し,Design-Based Learningを基盤とした創造的発想法がデザイン思考のような従来の発想法を補完することにつながり得ることを検討する。具体的には,これまでの研究成果を改めて整理・分析するとともに,企業や小学校,自治体等へのワークショップや研修を複数回実施する。これらのワークショップや研修の結果を踏まえて,再度,教育活動と企業活動,自治体活動等に対応可能なDesign-Based Learningのラーニングプロセスを検討するとともに,ワークシートやフローの改善を行う。この改善したワークシートやフローをもとに,教育活動においてのワークショップを5回,企業活動におけるワークショップや研修を8回,自治体活動におけるワークショップや研修を18回実施しながら,ワークシートやフローの評価・検証を実施する。また,それぞれの活動で有効な事後アンケート調査項目をすでに作成しており,そのアンケートを各ワークショップや研修で実施しながら教育活動や企業活動,自治体活動等で有用な創造的発想法の具体的な実行プロセスを構築するとともに,それらの研究成果を論文等を通じて広く公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度はワークショップや研修などを複数回実施しながら研究データの収集と分析等を行なってきたが,データ収集等は十分に行うことができたものの,それら全ての分析を進めるまでには至らなかった。そのため,分析等に充てる予定であった人件費が使用しきれなかった他,旅費においてもコロナ禍の影響により学会発表や都市部でのワークショップや研修の一部がオンラインでの実施に変更になったため,旅費が余ってしまった。今年度はコロナウイルスの第5類に分類されたことによって,コロナ対策の緩和や学会等の対面実施などがすでに決定しているため,学会発表や都市部でのワークショップや研修に旅費を充てる予定である。また,昨年度作成したブックレットやフローのリバイスを行うとともにそれらの印刷費に充てる他,研究データの分析に必要な人件費や論文投稿にかかる費用等に研究費を充てる計画である。
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