研究課題/領域番号 |
22K12703
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下村 萌 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (50816048)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 行政デザイン / サービスデザイン / フィンランド / 子育て / 子ども |
研究実績の概要 |
本研究は、デザイン手法とデジタル技術を掛け合わせて、行政の子育て支援分野において利用者のニーズに合った子育て支援を実現することを目的とする。本研究は行政サービスのデジタル化(DX)が進むフィンランドを参考にしながら日本の子育て支援サービスの改善を目指す。 今年度は、フィンランドの子育てとケアに関するデジタルサービスについて文献調査を行った。フィンランドでは2023年からwellbeing services countiesと呼ばれる社会システムを再構築し、それまで各自治体が運営していた医療、社会福祉、子育てや健康に関するサービスをより大括りな全国21地区に再編して包括的なデジタル変革を進めている。これに伴う全国的な医療・福祉サービスに関する組織全体が2023年に刷新されたばかりである。新体制の大枠は提示されているものの、まだ多くの都市では実装されておらず、利用者評価もまだ十分ではない。DXの最も進むヘルシンキ市と首都圏にあるエスポー市を対象地としてデジタル化されたサービスを調査し、市民へのサービス提供状況を確認した。 日本では、糸島市と連携していとしま免疫村の活動を開始した。これは科学やテクノロジー、デザインやアートが交錯し、新しい共創文化を発信する拠点構想である。糸島市の豊かなリソースを活用しながら、市民の方々と企業、大学が連携してこれからのウェルビーイングを実現する活動を進めている。特に小さい子どもは免疫が学習する入力データが不足することで、免疫系がバランスを崩しやすくなり、後年、慢性炎症性疾患の引き金になると考えられている。その予防として子どもや子育て家族が健康な生活を送れるよう、免疫を切り口にした知識や体験を提供するサービスの仕組みを構築している。今年度はいとしま免疫村のビジョンデザインを提示し、市民参加のアイデアソンとワークショップ、シンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本の市民を対象にしたヒアリング調査を実施できていない。フィンランドの行政サービスデザインの調査およびヒアリング調査の準備を先行し、同じフレームを日本の市民調査に応用するため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年にフィンランドにてヘルシンキ首都圏の行政職員へ聞き取り調査を実施予定である。また、同様の聞き取り調査を日本の子育て世代を対象に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は連携している糸島市の予算で活動したこと、オンラインでの文献調査が主であったため使用しなかった。円安の影響を受け、来年度フィールド調査で渡航予定の旅費が当初の予定より多く見込まれるため、その補填として次年度使用予定である。
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