研究課題/領域番号 |
22K12706
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
神沼 英里 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90314559)
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研究分担者 |
大野 暁彦 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (00758401)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デジタルツイン / 深層学習 / 街路樹 / 道路網 / デザイン |
研究実績の概要 |
2年度目は街路樹の画像認識AIモデルを構築した。AIモデルの構築には衛星画像ではなく、昨年度には購入したGEOSPACE航空写真データ2500を使用することに決めた。この理由は、航空写真の画像解像度が、衛星画像と同等またはそれ以上だった為である。また研究初期計画は、物体検出AIモデルを構築する予定だったが、自治体の管理情報である、個々の街路樹で計測されている緯度・経度の位置情報が不正確であった事から、樹高の画像推論AIモデルの構築に変更した。AIの学習データは名古屋市千種区の航空写真(07ND042、07NDA044)から街路樹部分の画像をCROP処理で抽出した。使用した航空写真は2020年5月に撮影され、1図郭のサイズは2.0km×1.5km、画素サイズは8,000×6,000(地上解像度25cm, 世界測地系)である。緑領域を含まない抽出画像は、AIの学習データから除外した。この画像抽出作業はMATLABと画像処理Toolboxを使用した。AIモデルの構築には、Google Colaboratory環境とPyTorch Image Modelsライブラリを利用した。ImageNet-21kデータセットで学習されたVision Transformer(ViT)モデルを基に学習データでFine Tuningした。抽出された街路樹の画像は50×50ピクセルで、AIモデルはこれを4つの樹高クラス(4-6m、6-8m、8-10m、10-12m)に分類する。樹高クラス毎に75枚の画像を訓練データとし、テストには10-15枚を使用した。樹高分類AIの評価値(Accuracy)は、訓練データで93%、テストデータで63%だった。低精度の原因の1つとして、街路樹の樹種の多様性が考えられる。今回のデータでは11種類の樹種を含んでおり、樹種を考慮したデータの整備等が今後の検討課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、航空写真から抽出した名古屋市の街路樹の領域画像データを用いて、街路樹の樹高を推定する画像分類AIを構築した。計測された街路樹の緯度・経度といった位置情報が不正確であった事から、管理上で重要となる樹高推定をする画像分類AIを構築した。使用した航空写真は名古屋市千種区を含み、CROP処理を施して緑領域以外を排除した。AIモデルの開発にはGoogle ColaboratoryとPyTorch Image Modelsライブラリ、及びVision Transformerモデルを用いた。樹高は4つのクラスに分類した。評価では、訓練データの精度は93%、テストデータでは63%となった。
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今後の研究の推進方策 |
街路樹の緯度経度情報に加えてデジタル道路データを活用することで、3km x 3km に分割した道路網+街路樹を掲載したAI 学習用の画像セットを作成する。道路網+街路樹の入力画像から、街路樹本数を入力とする配置デザインAI を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
自治体管理の街路樹の位置情報が予想と異なり、緯度経度情報が使えなかったので、新規にデジタルデータを購入しないで1年目に購入した航空撮影画像を用いて街路樹の樹高分類AIを構築した。3年度目には、道路と街路樹の配置情報のデータ構築が必要となるので、より正確な位置情報を構築できるような、デジタルデータの購入に助成金を使用する予定である。
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