研究実績の概要 |
本研究の目的は、俳優の演技における発話システムにおける「自発的ジェスチャー(Kendon, 1986,2004; McNeill, 1987, 2005)」を中心とした身体配置のデザインの方法を解明することにある。具体的には、俳優の実制作の現場と本番のステージを対象に、演技の発話システムの多声性(McNeill, 2015) を成立させるために、身体配置のデザインの方法がどのように生成され、変容するのかを解明することを目的としている。 本研究は5年間で三つの段階を設定し、全体の目標を達成することを目標としている。具体的には①プロの俳優の実制作場面および本番ステージデータの収集、②データの実証的分析手法の検討とデータ分析、③「プレ-ジェスチャー」の発達構造の検討と成果の発表・論文執筆である。 2022年度はデータ収集するための準備期間と位置づけ、研究協力者である青山慶氏(岩手大学)と複数回にわたりオンラインにて打合せをおこない、特に芸術表現である俳優の演技をアフォーダンス(生態心理学)の視点から演技行為をどのように分析したらよいか、のシミュレーションと検討をおこない、記録システムの構想と分析機材環境の構築をおこなった。また、データ収集後の分析にむけて、既にあるデータを対象に予備的分析をおこない、「マイクロスリップ(Reed, 1992)」を分析単位として導入できる可能性があることをみつけられたことが収穫であった。これらの予備的分析は、ISGS(International Society for Gesture Studies)2022年度大会で「Examining theatrical performance gestures: How to an actor creates embodied body on the stage?」として発表された。
|