研究実績の概要 |
本研究の目的は、俳優の演技における発話システムにおける「自発的ジェスチャー(Kendon, 1986,2004; McNeill, 1987, 2005)」を中心とした身体配置のデザインの方法を解明することにある。具体的には、俳優の実制作の現場と本番のステージを対象に、演技の発話システムの多声性(McNeill, 2015) を成立させるために、身体配置のデザインの方法がどのように生成され、変容するのかを解明することを目的としている。 本研究は5年間で三つの段階を設定し、全体の目標を達成することを目標としている。具体的には①プロの俳優の実制作場面および本番ステージデータの収集、②データの実証的分析手法の検討とデータ分析、③「プレ-ジェスチャー」の発達構造の検討と成果の発表・論文執筆である。 2023年度はプロの俳優のデータ収集をおこなう予定であった。しかし、研究代表者の本務校業務の逼迫により、撮影許可を依頼する際の具体的計画を練ることができなかったため、予定より少し遅れが生じている。ただし、実験対象予定者の各地の本公演をできる限り視察し、2024年度以降にいつ、どこで、どのようにデータ収集の許可をおこなえばよいか、何を中心にとらえ、どういった分析をしたらいいのか、を検討することはできた。また、以前の研究対象者の演技データを使用し、自発的ジェスチャーを対象とした探索的分析をおこない、2023年度生態心理学会主催のシンポジウム「やわらかいロボットから考える身体」および研究会で「イッセー尾形の演技の変遷-身体技法に注目して-」と題した報告をおこなった。
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