研究課題/領域番号 |
22K12713
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研究機関 | 福岡看護大学 |
研究代表者 |
原 やよい 福岡看護大学, 看護学部, 講師 (40807096)
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研究分担者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
中島 富有子 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (80592980)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 寝具 / 色彩 / 看護師 / 入院患者 / 印象 / 精神科 |
研究実績の概要 |
精神科病床の入院期間は、一般病床と比較して長期間に及ぶため快適な入院環境の提供が重要である。先行研究では、患者にとって、快適性の高い寝具の色を明らかにするために精神科に入院中の患者と精神科に勤務している看護師を対象に、病室の寝具6色(白、ペールトーンの赤、黄、緑、青、紫)の印象について調査した結果、白、青、緑の寝具は心理的快適性が高く評価された。しかし、色彩嗜好には季節差が認められていることから、夏季と冬季でどのような違いがみられるか検証する必要性が示唆された。 2022年度は、寝具の色に対し、患者が抱く印象について夏季と冬季において比較分析した結果を報告した。夏冬ともにペールトーンの青、白の順に心理的快適性が高く評価され、病院寝具に対する患者の色の印象は、季節による差異はみられなかった。 また、病院寝具の選定には病院側の立場から看護師の意見が反映される可能性が考えられるため、看護師と患者の寝具の色の印象に違いがみられるか検証する必要性が示唆された。そこで、患者が抱く印象と看護師が抱く印象の調査結果を比較した。看護師、患者ともに白、ペールトーンの青の順に心理的快適性が高く評価された。看護師と患者で印象に差がみられたのは、ペールトーンの青のみであった。ペールトーンの青は、明るさ・暖かさにおいて男性患者に高く評価された。 これらの調査結果から、次に青の寝具に着目した。ぺール、ライト、ブライト、グレイッシュ、ダーク、ディープトーンの6種のサンプルを作成した。精神科に入院中の患者、精神科に勤務している看護師を対象に、病院寝具としてのふさわしさ、清潔感や明るさ等寝具に対する印象(14項目)について調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、病院寝具の色に着目し、精神科入院患者にとって快適な寝具の色彩デザインを明らかにすることを目的としている。精神科に入院中の患者と精神科に勤務している看護師を対象に、寝具の色の印象を調査した結果、ペールトーンの青の寝具に対し、心理的快適性が高かった。 2022年度は、先行研究の結果を比較分析した結果、患者は看護師よりもペールトーンの青に対して、明るさや暖かさを高く評価し、看護師と患者で青の寝具の色に対する印象には違いがみられることが明らかとなった。この結果を踏まえ、青のトーンを変えた6種のサンプル(ペール、ライト、ブライト、グレイッシュ、ダーク、ディープ)を作成した。現在、精神科に入院中の男性患者40名、女性患者40名、精神科に勤務している男性看護師38名、女性看護師42名に質問紙調査を終えていることから、研究計画全体においておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
病院寝具の選択は、病院側が清潔感を求めて採用されている現状であるが、快適な入院生活を提供するためには、実際に使用する患者の心理的快適性を満たすデザインが求められる。精神科に入院中の患者、精神科に勤務している看護師に対し、寝具の色について印象を調査した結果、ペールトーンの青、白に対する心理的快適性が高く評価された。また、ペールトーンの青に対して、一部看護師と患者で印象の違いがみられた。このことから、2022年度は、精神科に入院中の患者と精神科に勤務する看護師を対象に6トーンの青の寝具の色に対する印象を調査した。今後は、この調査結果を基に、患者が好む青のトーン、それぞれのトーンによる印象の違い、患者にとって最も心理的快適性の高いトーンについて分析を行い、研究結果を報告する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、サンプル作成を委託する予定であったが、共同研究者が作成したため、サンプル作成に関する費用に余りが生じた。また、2022年度の学会発表がオンラインとなったため、旅費として計上していた費用を使用しなかった。2023年度の調査結果を、国内での学会発表や海外雑誌への投稿費用として使用することを予定している。
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