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2023 年度 実施状況報告書

情報圏を構成するパーソナルデジタルドキュメントの長期利用保証に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K12720
研究機関聖学院大学

研究代表者

塩崎 亮  聖学院大学, 基礎総合教育部, 教授 (70825687)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアーカイブ / 萎縮効果 / 国立図書館 / ソーシャルメディア / デジタル保存 / ドキュメント理論 / 納入制度
研究実績の概要

2023年度はソーシャルドキュメントの保存に関する理論研究(A)と実証研究(B)を実施した。
Aについては、人工物の存在論およびデジタル保存の議論とドキュメントの存在論との親和性について引き続き整理するとともに、図書館情報学を基礎づけるものとして、ドキュメント理論の概要整理を試みた。いずれの成果についても口頭発表するとともに、専門事典および紀要で公表済みである。
Bについては、エビデンスにもとづくナショナルコレクション構築の実現へ向けて、オンライン上でサーベイ実験を実施し、年齢が高くなるほど従来型メディア(図書や雑誌など)を文化遺産として保存する必要性を高く評価する一方、新規メディア(コンピュータゲームやソーシャルメディア上のコンテンツなど)を保存する必要性を低く評価する傾向が確認でき、その成果を査読付き国際誌で公表した。また、表現の自由の萎縮効果がユーザ生成コンテンツを国立図書館が収集する架空のシナリオにおいて実際に生じうるのかどうかを昨年度サーベイ実験にもとづき検証したが、その成果をまとめ、査読付き国際誌に投稿した。あわせて、文化遺産としての書籍とウェブサイトの保存選好を分かつ要因を検証するためにコンジョイント分析を実施し、こちらの成果も査読付き国際誌に投稿済みである。
また、電子メール保存の事例調査を実施し、成果を専門誌で公表した。加えて、パーソナルデジタルアーカイビングに関する英語文献のレビューも行ったが、その成果は来年度に刊行予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ソーシャルドキュメントなどの保存に関する理論・実証研究については一定の成果を公表でき、予定していた別の実証研究についても査読付き国際誌に論文として投稿するところまでは達成できたことから「おおむね順調に進展している」といえる。

今後の研究の推進方策

ソーシャルドキュメントを第三者が収集する行為を許容しない層が一定程度いることと、非許容の主な理由が情報プライバシーに関する漠然とした懸念であることまでは以前の調査で確認済みである一方、許容する層の意識については明らかにできていないため、たとえば文化遺産機関で実際に収集されている個人ブログサイトの管理者を対象として、探索的なインタビュー調査を行う。これは2023年度に実施する予定であったが、諸事情により後回しにせざるをえなくなったため、2024年度に実施予定である。
あわせて、これまでの研究成果から、世代間倫理における議論をデジタル保存の領域全般に適用できる可能性が見出せたことから、まずは、世代を超えてアナログおよびデジタルの両方の記録形式で保有されることが多いメディアといえる写真を対象として、世代継承性(ジェネラティビティ)が寄贈行動の規定要因になりうるかどうかを全国規模の質問票調査にもとづき検証する想定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ドキュメント理論とデジタル保存2024

    • 著者名/発表者名
      塩崎亮
    • 雑誌名

      明治大学図書館情報学研究会紀要

      巻: 15 ページ: 50~63

  • [雑誌論文] The Necessity and Priority of Preserving Cultural Documents as a National Collection for the Public2023

    • 著者名/発表者名
      Shiozaki Ryo
    • 雑誌名

      Journal of Archival Organization

      巻: 19 ページ: 18~35

    • DOI

      10.1080/15332748.2023.2240202

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 米国の州立公文書館が電子メール保存に向けて「準備」中2023

    • 著者名/発表者名
      塩崎亮
    • 雑誌名

      カレントアウェアネス-E

      巻: 464 ページ: -

  • [学会発表] パーソナルドキュメントとデジタル保存2023

    • 著者名/発表者名
      塩崎亮
    • 学会等名
      デジタルアーカイブ学会産業とデータ・コンテンツ部会
  • [学会発表] ドキュメント理論とデジタル保存2023

    • 著者名/発表者名
      塩崎亮
    • 学会等名
      明治大学図書館情報学研究会
  • [図書] 図書館情報学事典2023

    • 著者名/発表者名
      日本図書館情報学会編(範囲:第1部門編集, 7項目執筆, 索引)
    • 総ページ数
      726
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621308202

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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