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2023 年度 実施状況報告書

パンデミック下における個人の死後データ継承

研究課題

研究課題/領域番号 22K12724
研究機関関東学院大学

研究代表者

折田 明子  関東学院大学, 人間共生学部, 教授 (20338239)

研究分担者 中川 裕志  国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, チームリーダー (20134893)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード死後のデータ / デジタル遺品 / プライバシー / データ継承 / 人工知能 / デジタルアーカイブ
研究実績の概要

研究課題として「パンデミック下」の特殊性を取り上げていたが、その後の様々な世界情勢の変化や、新型コロナウイルス感染症に対する社会的な対応の変化により、二つの観点から研究の方向性を修正する必要が出てきた。第一には、いわゆるコロナ禍といわれてきた時期の記録や記憶が、2023年の時点ですでに失われつつあることを前提とすること、第二には、必ずしも新型コロナウイルス感染症による故人データに限らず、この時代の記録や記憶を残すということである。
データの継承に関しては、ただ静的にデータが残すことだけでなく、生前の個人データをもとにしたサービスを研究の範囲に含めた上で、サービスが必ずしも本人の生物としての死と連動しないということから、死亡確認や権限の移譲について検討をした。具体的には、仮想空間における分身であるサイバネティック・アバター(CA)や、生成AIとの関連について調査と検討をした。
個人が自分のデータを残す判断については、昨年度に引き続き、人称と死の関連から検討した。関連研究の調査の結果、東アジアにおける日常的な故人や先祖との語らいは、西欧のキリスト教圏では「継続する絆」として近年捉え直されているものの、そこには異なる死生観や宗教観が存在し、そういった違いがサービスの設計や利用に影響を及ぼす可能性があることが見えてきた。これらを踏まえた上で、多様化するプラットフォーム上に存在するデータを継承する方策について検討を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究課題と現状の見直しが必要であったことと、研究代表者の事情から本課題に割ける時間が減少した時期があったため。

今後の研究の推進方策

当初の計画からは遅れたが、最終年度において質的調査を実施し分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

研究計画の遅れから調査を実施できず次年度使用額が発生した。翌年度は、それらの調査の実施および研究発表を実施する。

備考

群像2024年2月号「特集・死について」 折田明子「死後にデータを残すこと」 2024年1月 (講談社)

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A Study about Cybernetic Avatar after the Death of the Master Person2023

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Hiroshi
    • 雑誌名

      Journal of the Robotics Society of Japan

      巻: 41 ページ: 9~13

    • DOI

      10.7210/jrsj.41.9

  • [学会発表] AIにおけるELSIの世界的動向とその捉え方2023

    • 著者名/発表者名
      中川裕志
    • 学会等名
      応用脳科学アカデミー・ベーシックコース3,一般社団法人応用脳科学コンソーシアム
    • 招待講演
  • [学会発表] AIにおけるトラスト2023

    • 著者名/発表者名
      中川裕志
    • 学会等名
      人工知能学会大会チュートリアル講演
  • [学会発表] 自律的アバターのトラストをめぐる問題点2023

    • 著者名/発表者名
      中川裕志
    • 学会等名
      第37回人工知能学会全国大会
  • [学会発表] Death in the second person in the Digital Age - Voices of those who have lost relatives since 2020 in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Akiko Orita
    • 学会等名
      Death Online Research Symposium #6 2023
    • 国際学会
  • [図書] The Art of Dying (Retain or Delete? Intentions for Social Network Accounts After Death)2023

    • 著者名/発表者名
      Gareth R. Schott Eds. Kyle Barrett, Elizabeth Paton, Tiffany Bodiam,Kirstine Moffat, David Simes,Akiko Orita,Moira Armstrong, Nicholas J. Munn, Missy Mooney, Melody May
    • 総ページ数
      199
    • 出版者
      Palgrave Macmillan Cham
    • ISBN
      9783031352164

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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