研究課題/領域番号 |
22K12755
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
松野 響 法政大学, 経済学部, 教授 (90588047)
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研究分担者 |
黒島 妃香 京都大学, 文学研究科, 教授 (10536593)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 比較認知科学 / 行為知覚 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒトにおける他者行為の知覚認識の進化的背景を明らかにするため、ヒトおよび近縁の霊長類種を対象として主体-動作-客体の三項からなる他者行為の構造の知覚認識特性を比較検討することを目的としている。 計画の初年度となる本年度は、ヒトおよびフサオマキザルを対象に本研究課題を遂行するための実験装置を整備し、実験参加個体の基礎訓練を開始する等、研究実施環境を構築し、研究の実施方針を決定した。最初の研究として、フサオマキザルを対象に他者行為を録画した動画像を用いた見本合わせ課題の学習訓練をおこない、サルが行為の主体、行為の種類、行為の対象物、の3つの情報のそれぞれを同時に表象することができるかどうかについての検討をおこなった。初期訓練では実験参加個体は、3つの情報のうちどの種類の選択肢が呈示されるのかが固定された条件で見本合わせ課題を学習し、その後、いずれの種類の選択肢が呈示されるのかが試行間でランダムに決定され事前に予測ができない条件でテストをおこなった。フサオマキザルは、選択肢の種類が予測できない条件でも、予測できる場合と同等の高い再認成績を維持した。この結果はフサオマキザルが1つの動画像から、主体、動作、動作対象の3つの情報を同時に表象し記憶することができることを示唆している。今後、この成果をもとに、主体、動作、動作対象の各表象がどのように結びついているのか、その構造について検討する研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施環境の構築、実験課題のデザインを決定し、予定通り、動物を対象とした最初の行動実験研究をおこなった。当初の想定に比べて課題学習に時間がかかり、初期訓練期間が長期に渡ることとなったが、実験実施期間を長くとることで本年度中にテストの結果を得ることができた。次年度以降、当初の計画通りの実験研究を継続することができる。以上より、計画はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本計画開始時にたてた研究計画に基づき、次年度以降、ヒトおよび比較対象動物の行動実験を継続する。フサオマキザルを対象とした実験に関しては本年度初期訓練をおこなった課題に変更を加えることで、本年度の課題学習の結果を利用して効率的に次年度の実験をおこなう。また、同様の課題を用いてヒトを対象とした比較研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に成果の研究発表に関わる経費が未消化となった。次年度以降、今年度得られた成果についての研究発表を次年度以降におこない当該予算を消化する予定である。
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