• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

ことばへの意味づけ過程に見られる解釈的循環メカニズムの脳科学・計算論的解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K12756
研究機関金沢工業大学

研究代表者

金野 武司  金沢工業大学, 工学部, 准教授 (50537058)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード語用論 / 解釈学的循環 / 実験記号論 / 構成的アプローチ / 情報論 / 脳波
研究実績の概要

初年度の計画に予定していた解釈学的循環を含む計算モデルの確立について,課題の1つ目に挙げた「記号衝突」を解決するための計算アルゴリズムの構築に注力した.まずはそのアルゴリズム構築の必要性を整理した研究成果を,国際会議(JCoLE2022)にて発表した.また,この発表とほぼ同時期には,アルゴリズムの具体的な中身として「記号衝突」を解消することのできるメカニズムの機能性を計算機シミュレーションと人と計算機の認知実験で検証した研究の成果を国内会議(日本認知科学会39回大会)にて報告した.この研究で実現された課題パフォーマンスは,人間どうしで行なわれるそれに比べて若干低くなる傾向が見られたため,その原因を特定する必要があることが判明している.
共同研究者である森田氏(静岡大学)が精力的に進めてきた,記号コミュニケーションシステムの形成過程に果たす自閉傾向の役割についての論文が認知科学誌にて発表された.この論文には共著者として参画した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に予定した計算アルゴリズムの確立については,問題となっていた記号衝突時の対処方法について,人との間で有効に機能するメカニズムを構成することができた.また,より人間がやっていることに近いと思われる2つのメカニズムを考案し,1つは人間との認知実験によりパフォーマンスを確認するところまで進展させることができた.脳計測については,OpenBCI社の脳波計のフレームおよび電極構造を改良すると共に,アクティブ電極を用いることによる精度向上を図った.ただし,こちらに関しては導電性ジェルを使わない乾式脳波計ということもあり,頭皮との接着に不十分な点があることがわかっている.それらの検証内容について,まだ対外的な発表は行なえていないが,計測データは着実に蓄積されている.

今後の研究の推進方策

初年度の第一の課題として挙げた「記号衝突」問題について,あと1つ考案したメカニズムの人間との認知実験による検証フェーズが残っているため,これを実施する.2つ目の課題としていた「学習サイクル」については,続く3つ目の課題「尤度に基づく計算量の推定」に必ずしも必要とされるものではないことが見えてきたので,先行的に3つ目の課題に取り組むことを予定する.計算モデルが人間の行動データをどの程度説明できるのかを確認・検証すると共に,都度実行されているプログラムコードから計算量を推定できるようにする.これにより,課題遂行時の推定計算量がどのように推移しているのかを確認する.この推定計算量との対応関係を探索することになる脳活動については,頭皮との接地面の問題を解決するための方策を検討し,脳波計の改良を実施する.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 新規な記号コミュニケーションシステムの 形成に及ぼす自閉傾向の影響2022

    • 著者名/発表者名
      森田 純哉、小嶋 暁、金野 武司、橋本 敬
    • 雑誌名

      認知科学

      巻: 29 ページ: 557~574

    • DOI

      10.11225/cs.2022.024

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mechanisms Underlying the Hermeneutic Circle Between Connotation and Denotation in the Construction of Symbolic Communication Systems2022

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Konno, Ryusei Ota, Ryosuke Nakano
    • 雑誌名

      Online proceedings of Joint Conference on Language Evolution (JCoLE2022)

      巻: 2022 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 記号コミュニケーションシステムの形成過程において起こる意味の重複の解消方法とその効果の検証2022

    • 著者名/発表者名
      大田 琉生, 中野 稜介, 金野 武司
    • 雑誌名

      2022年度日本認知科学会39回大会予稿集

      巻: 2022 ページ: 216, 218

    • 査読あり
  • [学会発表] Mechanisms Underlying the Hermeneutic Circle Between Connotation and Denotation in the Construction of Symbolic Communication Systems2022

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Konno, Ryusei Ota, Ryosuke Nakano
    • 学会等名
      Joint Conference on Language Evolution (JCoLE2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] 記号コミュニケーションシステムの形成過程において起こる意味の重複の解消方法とその効果の検証2022

    • 著者名/発表者名
      大田 琉生, 中野 稜介, 金野 武司
    • 学会等名
      2022年度日本認知科学会39回大会
  • [備考] 金沢工業大学 研究室ガイド 金野研究室

    • URL

      https://kitnet.jp/laboratories/labo0188/index.html

  • [備考] 金野研究室 Konno Lab. (Open)

    • URL

      https://cocrelab2017.notion.site/Konno-Lab-Open-ca03c6e3311247be97de396f8afe7c89

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi