研究実績の概要 |
これまでの研究より、一部の抗がん剤(シスプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン)のヒトがん細胞に対する殺細胞作用は、交流磁場曝露によって増強されることを見出した。そこで固形がんの場合に、その病巣に交流磁場を曝すことで薬剤作用を高められれば、投薬量を減らし副作用を抑える標的薬剤療法が可能になると考えられる。本研究は交流磁界による薬剤増強のメカニズムを明らかにすることを目的として、細胞膜に存在する薬物トランスポーターに着目し、当該年度では薬物トランスポーターの細胞内への取り込み機能に対する交流磁界影響について測定を行った。抗がん剤ドキソルビシンの細胞内への取り込みトランスポーターについては、他の研究者によりOCT3, OCT6, OCTN1等が報告されている。また、ドキソルビシンは蛍光を有する薬剤でもある。そこでドキソルビシンのトランスポーターを発現していると報告のあるヒト肺がん細胞株A549を用いて、交流磁場曝露下と非曝露下でそれぞれ細胞内に取り込まれる薬剤量をドキソルビシンの蛍光値を指標として測定し、両群の比較を行った。数回の実験結果により、交流磁場曝露4時間では、非曝露群に比べて、細胞内のドキソルビシン取り込み量が4%多くなり、統計処理の結果から有意差があることが確認された。現在、薬物トランスポーターを介して細胞内に取り込まれる他の蛍光物質を用いて、さらに交流磁界曝露による薬物トランスポーターへの影響について測定を行っているところである。
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