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2022 年度 実施状況報告書

感覚器からの神経模倣スパイク時系列による脳皮質神経駆動

研究課題

研究課題/領域番号 22K12781
研究機関三重大学

研究代表者

林田 祐樹  三重大学, 工学研究科, 教授 (10381005)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード神経補綴 / 神経模倣 / 視覚情報 / 神経スパイク / 生理学実験
研究実績の概要

本研究目的に述べた「網膜からの神経スパイク列を模倣して設計した刺激を脳皮質一次視覚野内へ与える」ことを可能にするため、スパイク出力型の網膜模倣デバイスを前段、刺激用電子モジュールを後段とし、両者を機能的に結合する中継モジュールを開発した。この中継モジュールは、シングルボードコンピュータおよびField-Programmable Gate Arrayを用いて構成し、それら内部に、前段の出力データをもとに、後段の制御用データを変換生成するロジック回路を搭載した。また、網膜から脳皮質までのスパイク伝達効率の変換を模擬する演算回路をソフトウェア実装し、その動作確認を行った。こうして構築した“新規刺激システム”の比較対象として、過去の人工視覚のヒト臨床試験やサル行動実験で用いられたものと同様に、外界光強度変化に対する閾値処理を元に、固定周波数(100-200 Hz)の繰返し刺激パルスを生成するシステム(以下“従来刺激システム”)をソフトウェア実装し、その動作確認を行った。なお、新規刺激システムについては、その結果の一部を国際学術誌論文(Y. Hayashida et al., Front. Med. Technol. 2022 Sep 13;4:927581. doi: 10.3389/fmedt.2022.927581)に発表した。また、次年度以降実施予定の生理学実験に向けて、その予備検討を兼ねた研究成果を国際会議で発表した(S. Fukuda et al., 2022 E-Health Bioeng.Conf., Romania, 2022, pp.1-4, doi: 10.1109/EHB55594.2022.9991319)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたシステム開発をほぼ完了できたとともに、国際学術誌論文の発表を行った。また次年度以降に実施予定の生理学実験についても、国際会議発表が可能な水準まで、実験のシステムおよび環境が整った。以上より、現在までの進捗状況は、当初の計画に沿っておおむね順調に進展している、と判断した。

今後の研究の推進方策

当初の計画に沿って、今年度に開発した新規刺激システムと、高速イメージング法を用いた生理学実験を遂行していく。但し、今年度夏季以降に、研究代表者の研究・実験室がある建屋が全面改修工事に入ることから、実験室の一時移転を余儀なくされた。そこで、本年度は、一時移転前までの期間に生理学実験を精力的に進めて可能な限り実験データを取集しておき、一時移転中およびその後の復帰期間では、その実験データの詳細解析、実験系の再調整などを行う予定である。当然ながら、当初計画から遅れを生じるとは予想されるが、現在までの予備実験等により、実験データの取得効率が従前よりも格段に向上していることから、本研究の目的達成に向けた一定以上の成果は期待できるものと考える。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた電子デバイス機器類の購入が半導体不足で入手困難となった。また刺激チップのパッケージングやそのための外注等も、必要経費の高騰により出来なかった。そこで、研究目的の遂行に支障のない範囲で、代替品の購入や、現有の中古デバイス等の使用、ならびに、ハードウェア実装からソフトウェア実装(コンピュータ購入)への研究手段の変更等を行った。これにより、手段変更後の経費が、上述のハードウェアや外注にかかる経費に比較して低く抑えられたため。
繰り越し額は、次年度以降に実施予定の動物実験のデータ数を増やすため、生理学実験の消耗品等の購入に使用予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Multichannel stimulation module as a tool for animal studies on cortical neural prostheses2022

    • 著者名/発表者名
      Hayashida Yuki、Kameda Seiji、Umehira Yuichi、Ishikawa Shinnosuke、Yagi Tetsuya
    • 雑誌名

      Frontiers in Medical Technology

      巻: 4 ページ: 927581 (21pp.)

    • DOI

      10.3389/fmedt.2022.927581

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Use-Dependent Inactivation of the Mouse Visual Cortex in Response to Microstimulation Train2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Santa、Yoshida Kou、Nomoto Tomohiro、Yagi Tetsuya、Hayashida Yuki
    • 雑誌名

      2022 E-Health and Bioengineering Conference (EHB)

      巻: n.a. ページ: (4pp.)

    • DOI

      10.1109/EHB55594.2022.9991319

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epileptic Electrocorticogram Signal Detections with Patient-Specific Quantized Convolution Neural Network Models on the Edge TPU device2022

    • 著者名/発表者名
      Yamamasu Shinjiro、Hayashida Yuki
    • 雑誌名

      2022 E-Health and Bioengineering Conference (EHB)

      巻: n.a. ページ: (4pp.)

    • DOI

      10.1109/EHB55594.2022.9991489

    • 査読あり
  • [雑誌論文] スパイキングニューラルネットワーク加速器用 RISC-Vアーキテクチャ VLIWソフトコアの設計2022

    • 著者名/発表者名
      李 明洋、林田祐樹
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 122 (292, NC2022-62) ページ: 88-91

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公開日: 2023-12-25  

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