研究実績の概要 |
本研究目的に述べた「網膜からの神経スパイク列を模倣して設計した刺激を脳皮質一次視覚野内へ与える」ことを可能にするため、スパイク出力型の網膜模倣デバイスを前段、刺激用電子モジュールを後段とし、両者を機能的に結合する中継モジュールを開発した。この中継モジュールは、シングルボードコンピュータおよびField-Programmable Gate Arrayを用いて構成し、それら内部に、前段の出力データをもとに、後段の制御用データを変換生成するロジック回路を搭載した。また、網膜から脳皮質までのスパイク伝達効率の変換を模擬する演算回路をソフトウェア実装し、その動作確認を行った。こうして構築した“新規刺激システム”の比較対象として、過去の人工視覚のヒト臨床試験やサル行動実験で用いられたものと同様に、外界光強度変化に対する閾値処理を元に、固定周波数(100-200 Hz)の繰返し刺激パルスを生成するシステム(以下“従来刺激システム”)をソフトウェア実装し、その動作確認を行った。なお、新規刺激システムについては、その結果の一部を国際学術誌論文(Y. Hayashida et al., Front. Med. Technol. 2022 Sep 13;4:927581. doi: 10.3389/fmedt.2022.927581)に発表した。また、次年度以降実施予定の生理学実験に向けて、その予備検討を兼ねた研究成果を国際会議で発表した(S. Fukuda et al., 2022 E-Health Bioeng.Conf., Romania, 2022, pp.1-4, doi: 10.1109/EHB55594.2022.9991319)。
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