研究課題/領域番号 |
22K12786
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
吉田 真一 高知工科大学, 情報学群, 教授 (30334519)
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研究分担者 |
佐伯 幸郎 高知工科大学, データ&イノベーション学教室, 准教授 (40549408)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CNN / GAN / Grad-CAM / MRI / X線 |
研究実績の概要 |
医療画像判別用畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と、画像条件(内容)の変換(描出)を行う巡回的敵対的生成ネットワーク(Cycle GAN)実行環境の整備を行った。実行環境には24GBのGPUボードを用いることとした。Cycle-GANの実行環境の整備および2次元画像についての実証は終了しており、一般的な顔画像の性別変換が行えることを確認しているが、データ数1000程度の場合十分な変換精度が得られないこと、変換の際に過学習のような現象(単純な明度変換のみなど)が確認された。また、胸部X線画像および脳MRI画像に対して既存の説明性手法として、Grad-CAMおよび画像の一部をマスキングするオクルージョンを用いる手法について検討した。MRI画像については、頭部T1強調画像、バイアス補正、線形標準化、脳領域セグメンテーション、全脳、白質、灰白質、脳髄液、非線形標準化、非線形標準化の変形場画像、非線形脳領域セグメンテーションの各画像についてCNNでの男女識別、および学習後モデルに対するGrad-CAMを行った。その結果、線形・非線形標準化後の画像において小脳、視床周辺、脳梁、脳幹が識別に寄与した部位として出力された。またオクルージョンを基にする手法においては、Harvard-Oxford atlasに基づいてFSL(FMRIB Software Library)を用いて48の皮質領域に分割した脳MRIのT1強調画像に対して、3D-CNNによる年齢の回帰を行ったモデル(決定係数0.75)について、縁上回、前頭極が比較的精度に寄与しているという結果になったが、他の部位との決定係数の差が大きくなく(0.4前後)、その説明性にはまだ検討が必要であるとの結果となった。また、アルツハイマー病の脳MRIデータセットADNIに対してGrad-CAMを行った結果では、形状などの低次特徴を認識している結果となり更なる検討が必要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPUを用いた実行環境の調達・構築が終了し、既存の説明性モデルの検討が行えていることから順調に進展していると判断している。Grad-CAM法、オクルージョンを用いる方法を3次元脳MRI画像に適用することも終え、それら既存の手法の問題点についても明確化することができたものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いた脳MRI画像(fMRI画像を含む)、胸部X線画像の識別モデルの高精度化をはかり、高精度モデルが得られた後、CycleGAN等の画像変換型敵対的生成ネットワーク(GAN)モデルの構築を行う。画像変換モデルが十分な精度で得られた後、そこから得られる説明性の検討を行う。これらについて、処理するためのGPUサーバの高性能化の環境構築を行う。得らえた結果について、国内学会、国際学会での発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体不足の影響により当初予定した高性能計算機およびGPUボードの性能を開発用途に限定した環境として構築することとして性能を下げたことと、予定していた国際会議参加の旅程の目途が海外渡航に困難が伴う社会情勢であったため見送ったことで、今後計算機の性能の向上および国際会議参加のための渡航に用いる予定である。
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