研究課題/領域番号 |
22K12793
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
石田 誠一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10270505)
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研究分担者 |
松下 琢 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10209538)
古水 雄志 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (80735829)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝星細胞 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 三次元培養 / スフェロイド |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎が原因となる肝線維化を伴う肝硬変の病状の進行は予測が困難であるため、肝線維化を模倣したスクリーニング系の開発が望まれている。一方、肝星細胞は、肝線維化の責任細胞として注目されており、正常な静止星細胞(qHSC)から活性化状態(aHSC)への変化が肝線維化の原因であるものの、通常の2D培養では常にaHSCが維持されているため、現在この変化を実現できる培養系が存在しない。そこで、本研究ではqHSCの安定供給を目的とした3D培養法の開発について検討した。また、本研究では、肝星細胞と似た特徴を持つLI90細胞を様々な培養基材で培養することで、NASH治療薬開発や肝硬変を誘起する医薬品副作用の評価系に資する活性化/脱活性化の制御が可能な培養系の構築を目的としている。R4年度は下記の研究成果を得た。 1)F-actinの蛍光は、monolayer培養では線維状に伸長していることが確認でき、三次元培養(スフェロイド)ではF-actinが伸長していないことが示され、スフェロイドでは活性化していないことが示唆された。 2)静止期星細胞では、細胞質内にビタミンAであるレチノイドを含む脂肪滴を多く持ち、活性化状態となった肝星細胞は細胞質の脂肪滴を失う。EZSPHERE、NanoCulture Plateを用いた三次元培養(スフェロイド)ではビタミンAに由来する蛍光が観察でき、脱活性化していることが示された。 3)活性化マーカーであるα-SMAの免疫染色の結果、スフェロイドのα-SMA蛍光強度は、monolayerと比較して弱くなり、LI90細胞は三次元培養により脱活性化することが示された。 4)スフェロイドのαSMAの遺伝子発現は、monolayerと比べ低下することが示され、脱活性化することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度の本申請課題の研究計画では、2Dおよび3D培養による肝星細胞の培養として、ヒト肝星細胞(LI90)の培養条件を計画としており、下記の研究成果を得ている。 HL90細胞の三次元培養(スフェロイド)では、monolayer培養と比べ、F-actinが伸長していないことが示された。また、三次元培養(スフェロイド)ではビタミンAに由来する蛍光が観察できた。さらに、活性化マーカーであるα-SMAの免疫染色および遺伝子発現の結果より、スフェロイド培養では、monolayer培養と比較してα-SMAが低下していることから、LI90細胞は三次元培養により脱活性化することが示唆された。 上記の結果より、順調に進捗していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度以降の本申請課題の研究計画では、下記の3つの観点の研究を実施する。 1)2Dおよび3D培養によるHSCの培養法の確立(研究期間2022-2023):本申請課題では、2Dおよび3D培養によるHSCの培養として、ヒト肝星細胞(LI90)の培養条件を明らかにする。ヒト肝星細胞の培養細胞株であるLI90細胞を使用し、qHSCを維持するために、3D培養として、2種類の方法で検討する。HSCの活性化、脱活性化の評価として、LI90細胞の3D培養と通常の平面2D培養を行い、qHSCを維持できる培養条件について検討する。 2)HSCの活性化、脱活性化の評価(研究期間2022-2023):LI90細胞の3D培養によるqHSCからHSCの活性化する培養条件について明らかにする。aHSCの活性化の指標として、α-SMA、コラーゲン(遺伝子発現:mRNAの検出、タンパク質の発現レベルの検出)および活性化に伴うサイトカイン(IL-1βなど)の評価(ELISA)について検討する。 3)HSCの活性化・脱活性化のメカニズムの解明(研究期間2023-2024):本研究ではLI90細胞の3D培養によるqHSCの維持機構について明らかにする。線維化を伴うqHSCの活性化機構には、転写因子であるYAP(Yes-associated Protein)経路の報告がある。本研究課題では、LI90細胞の3D培養による活性化・脱活性化にYAPの関与について、2D培養と3D培養におけるYAPの発現レベルの検出(qPCR、免疫染色、WB)について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が発生した理由として、新型コロナウイルスの感染防止の影響で予定していた学会がWEB開催となったため、旅費計画分に余りが生じた。
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