研究課題/領域番号 |
22K12794
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
清水 秀二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80443498)
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研究分担者 |
宍戸 稔聡 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (60300977)
小谷 恭弘 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90534678)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 先天性心疾患 / 植え込み型補助人工心臓 / 血行動態 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、先天性心疾患患者個々人の血行動態を再現できるシミュレータを用いて、補助人工心臓導入後の血行動態の変化を予測することで、最適な補助循環法を選択できるシステムを開発し、臨床応用することを目的として研究を行なっている。本年度は、主として臨床で使用されている補助人工心臓のモデル化と、先行研究で開発したシミュレータを元とした血行動態シミュレータの開発を行なった。 補助人工心臓のモデル化においては、EVAHEART、HeartMateII、HeartMate 3、HeartWave Ventricular Assist Device(HVAD)およびJarvick 2000の数理モデル化を行い、それぞれのデバイスに応じた圧流量曲線の近似式を作成し、開発した血行動態シミュレータに組み込むことに成功した。 血行動態シミュレータの開発においては、まず初めに患者個々人での血行動態を再現するために、個人個人で異なるパラメタを推定するアルゴリズムの開発を行なった。先天性心疾患患者を対象としたシミュレーションの場合、新生児から成人までの患者が対象となるため、血管の抵抗やキャパシタンスも年齢や体格によって大きく異なってくる。そこで、まず体格等を考慮した上で仮のパラメタを設定し、実測の収縮期・拡張期血圧、中心静脈圧、酸素飽和度からパラメタを修正していくアルゴリズムを構築した。 また本年度は、先天性心疾患の中でも心不全を来たしやすいとされるフォンタン手術後患者における補助人工心臓の効果を、開発した血行動態シミュレータを用いて検証し、その成果を国内学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
補助人工心臓のモデル化については、ほぼ予定通り進んでいる。血行動態シミュレータの開発においては、個別パラメタ推定アルゴリズムの構築が進んでおり、今後は精度向上が課題である。
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今後の研究の推進方策 |
補助人工心臓のモデル化においては、まだモデル化が出来ていないEXCORなどのデバイスについてモデル化を進めていく。血行動態シミュレータの開発においては、臨床データをもとに個別パラメタ推定アルゴリズムの精度向上を図る。 また、動物実験による精度検証とシミュレータの最適化を行うために必要な動物での初期パラメタ設定用データを収集する。加えて、実際の補助人工心臓装着患者が出た場合、その患者に合わせたシミュレータを構築し、シミュレータの精度検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会の開催地が近距離であったため、旅費が低額で済んだことと、動物実験を開始していないため、人件費での支出がなかったことにより残金が生じた。残金については、次年度の成果発表のための旅費および人件費を含めた動物実験関連費用として使用する予定である。
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