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2022 年度 実施状況報告書

仮想実体人体モデルを一体化したシミュレータによる人工股関節手術支援システム

研究課題

研究課題/領域番号 22K12804
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

花房 昭彦  芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (10547839)

研究分担者 馬場 智規  順天堂大学, 医学部, 准教授 (40317459)
Shahrol・bin Mohamaddan  芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (50880093)
高木 基樹  芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (90572694)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード人工股関節置換術 / 手術支援 / 人体ダミーモデル / 人体仮想モデル / シミュレーション
研究実績の概要

牽引装置を利用する人工股関節手術を対象とし,より安全な手術を実施可能な手術支援システムの構築が研究目的である.現状,牽引操作は医師の判断と経験によって行われているが,より安全な手術のためには客観的な指標が必要であるため, 6軸の力センサを装着した牽引部の開発と製作を行い,牽引装置に搭載した.本装置は,医療機器として登録されており,手術時に使用可能である.
牽引台の計測部では,回旋モーメントの計測限界が6Nmであったが,新たに30Nmまで計測可能なFFS080YS102A6S(レプトリノ社)が搭載可能となるようにブーツ牽引治具の改良を行った.また慣性センサ(TAG289N1000:多摩川精機)を治具に搭載できるようにし,牽引ブーツ部の外内旋角度,伸展・屈曲角度,外内転角度が計測可能となった.
股関節部にかかる牽引力計測可能な下腿の人体ダミーモデルに関しては,人体の骨格モデルに粘土を付加して8.05kgとしたモデルを作成した.股関節部を脱臼させ,大腿直筋,縫工筋,半腱様筋を模擬した筋肉モデルを外径15mm,内径6mmのシリコンチューブで作成して接続した.またシリコンチューブの中間に張力センサ(TCLS-50L:東洋測器)を搭載し,筋モデルの張力計測可能なシステムを構築した.
仮想人体モデルに関しては,動力学解析可能なPTC社のCreoを用いて構築した.ダミー人体モデルに使用された骨格モデルの三次元形状を3Dスキャナで計測し,牽引台についても寸法を計測してほぼ実寸大のCADモデルを作成した.また実物と同様の牽引,外内旋,伸展・屈曲,外内転動作が可能なように,ジョイントを定義したモデルとした.ダミーモデルと同様,大腿直筋,縫工筋,半腱様筋をバネモデルとして定義した.人体モデルの骨盤から上部を牽引モデルに搭載し,足部を牽引治具に固定することによって,牽引時の解析が行えるようにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体のシステム開発は以下の通り,概ね予定通り進んでいるが,課題も生じている.
牽引台の計測部に関しては,新規センサを利用することにより,5倍の回旋モーメントが計測可能となった.ただしセンサの容積が20倍,重量が12.5倍となり,センサの自重で足部が過剰に背屈する状態となっている.また牽引動作計測では,牽引量の計測が行えない,足首部の底背屈動作と屈曲,伸展動作の分離ができないという課題がある.まだCOVID-19の影響もあり,手術データの取得がなかなか進まない状況にあった.
下腿の人体ダミーモデルに関しては,シリコンゴムチューブによる大腿直筋,縫工筋,半腱様筋を模擬した筋肉モデルを搭載して,牽引動作時の筋肉にかかる張力が計測できるようになった.手術時と同様の牽引動作を実施した結果では,牽引ブーツ部の6軸の力センサでは,全般的に手術時より小さい値が計測される傾向にあった.
仮想人体モデルに関しては,骨格モデル,ダミーモデルで搭載した3筋のモデルを定義したモデル,および牽引操作が可能な牽引台のモデルをCADシステム上で構築することができた.また牽引操作時の筋モデルの張力,牽引部にかかる力とモーメントが解析できるようになった.ただし,牽引50mm,外転90deg,伸展30deg, 内転40degの動作を独立に実施した結果では,人体ダミーモデルの筋モデルの張力計測結果,6軸力センサの計測結果に対して,過剰な解析値となっている.

今後の研究の推進方策

牽引台の計測部に関しては,足部が過剰に背屈する状態が手術時に問題となる場合は,その解決策を考案する.また牽引動作計測では,牽引量の計測が行えるようにシステムの拡張を行う.手術データの取得と解析も進めていく.
下腿の人体ダミーモデルに関しては,牽引ブーツ部の6軸の力センサでは,全般的に手術時より少ない値が計測される傾向にあったため,筋モデルのヤング率を大きくする,骨盤との間に接続する筋モデルの数を増加させるなどの改善を実施する.
仮想人体モデルに関しては,解析結果が人体ダミーモデルによる筋モデルの張力計測結果,6軸力センサの計測結果に対して,過剰な値となっているため,仮想モデルとダミーモデルによる動作との差異を確認し,牽引台とのモデルの締結方法,摩擦の定義などの改善を実施する.またバネとして定義した筋モデルや,関節に定義した人体モデルの材料特性値の見直しも行う.
全体システムに関連しては,医師のご意見を伺いながら,搭載すべき警告機能の要件を導出する作業を進め,警告システムの仕様を固めていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

まだCOVID-19の影響もあり,手術データの取得が進まない状況であった.また現地参加が行えない国内,国際学会があった.今年度は手術データの取得と解析を進めていく.また研究成果についても積極的に発表を行っていく.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Development of a total hip arthroplasty support system that includes dummy and virtual lower-limb models2023

    • 著者名/発表者名
      Akihiko Hanafusa, Hiroki Kato, Syuna Hara, Aimi Kato, Shahrol Mohamaddan, Motoki Takagi, Tomonori Baba, Yasuhiro Homma, Yasuhumi Oishi
    • 学会等名
      Computer Assisted Radiology and Surgery 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 人工股関節置換術支援システムの開発-6軸力覚センサによる牽引負荷計測システムの改良―2022

    • 著者名/発表者名
      加藤拓樹,花房昭彦,Shahrol Mohamaddan,高木基樹,大石泰史,馬場智規
    • 学会等名
      日本コンピュータ外科学会Frontier of CAS Symposium 2022

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公開日: 2023-12-25  

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