研究課題/領域番号 |
22K12811
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
水野 敏秀 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40426515)
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研究分担者 |
西中 知博 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (00256570)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胎児 / 胎盤 / 呼吸不全 / 人工胎盤 / 人工子宮 |
研究実績の概要 |
本研究は人工胎盤-人工子宮システム開発を目的としている.人工胎盤使用中の全身性病態における人工胎盤側の循環動態的因子を検討すべく,臍帯動脈-静脈バイパス方式による人工胎盤が循環動態に与える影響と制御法に関して模擬循環回路を用いた検討を行った.一定心機能状態において臍帯動脈-静脈バイパス方式による各種人工胎盤(人工肺単独方式,人工肺・血液ポンプ併用方式)を導入すると回路特性に依存してバイパス流量は変動し,バイパス流量の増加により臍帯動脈バイパス分岐後の体循環血圧低下等を認め,これは低体重児では管理が困難となる傾向にある可能性を認めた.人工胎盤使用中の循環動態の制御においては,回路特性の管理と可及的に低いバイパス流量とすることが重要であることが示された.人工肺のガス交換確保,回路血栓形成抑止等のための対策として,臍帯動脈-静脈バイパスをアクセスルートとしたループ回路を作製し人工肺流量確保とバイパス流量低減の両立が可能なシステム(ループ回路システム)を考案した.先行研究では基礎的検討,動物胎児による実験にて実現可能性を示した.模擬循環回路を用いた検討にてループ回路システムにおいてもバイパス流量の増加により臍帯動脈からのバイパス分岐後の体循環血圧の低下等は認めるが人工肺血流量確保のもとにバイパス流量を低減しうる可能性が示された.各種人工胎盤使用中の循環動態においては自己心拍出量及びバイパス流量の変動に対して自己心拍出量-バイパス流量バランスの維持をはかりながら自己心拍出量とバイパス流量を調節することによって管理しうる可能性が示された.人工胎盤使用中の循環動態の制御の上では可及的に低いバイパス流量を維持しつつループ回路システム等により人工肺血流量の管理を行うこと,自己心拍出量-バイパス流量バランスの維持下に自己心拍出量とバイパス流量を調節することが重要である可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人工胎盤使用中の全身性病態における人工胎盤側の循環動態的因子を検討すべく,臍帯動脈-静脈バイパス方式による人工胎盤が循環動態に与える影響と制御法に関して模擬循環回路を用いた検討を行った.生体側の因子,人工胎盤と生体の相互作用等からの人工胎盤使用中の全身性病態の研究と全身管理法に関する研究開発へと検討を進める.
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今後の研究の推進方策 |
早産児および重症呼吸障害児のための人工胎盤-人工子宮システムの開発のため、人工胎盤-人工子宮システムにおける,人工羊水循環・交換システムの課題に関する研究とシステム開発,生体側の因子,人工胎盤と生体の相互作用等からの人工胎盤使用中の全身性病態の研究と全身管理法に関する研究開発について動物試験等を含む検討により進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,人工胎盤-人工子宮システムの適応における,人工胎盤使用中の全身性病態に関する研究として、人工胎盤側の循環動態的因子を検討すべく,臍帯動脈-静脈バイパスが循環動態に与える影響と制御法に関して模擬循環回路を用いて検討を行い,予算の次年度使用が発生した.今後は,人工胎盤-人工子宮システムにおける人工羊水循環・交換システムの課題に関する研究とシステム開発を実施する.また,人工胎盤使用中の全身性病態の研究と全身管理法に関する研究開発について動物試験等を含む検討により進める.
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