研究課題/領域番号 |
22K12823
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岡 佳伸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80719865)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 生体内吸収性固定材料 / マグネシウム |
研究実績の概要 |
現在骨接合術には,一般的にステンレスやチタン合金などの金属性,もしくはポリ乳酸などの生体分解性のインプラントが使用されている.金属性のインプラントは抜釘手術を必要とし,生体分解性インプラントは生体内での強度の低さが問題となるため,真に適切な生体材料は発見されていないと考える. 近年生体内吸収性があり,かつ強度が高いマグネシウム合金を用いた新たなインプラントの開発が検討されている.マグネシウムをインプラント材に用いることで,治療のために体内に埋め込まれた後、治癒が進むにつれて,体内でその耐食性を反映して徐々に溶解し、完全に治癒した後すべてが消失してなくなり,抜釘手術を必要としなくなる.マグネシウム合金では合金金属によって副反応が生じる可能性があるが,高純度マグネシウムでは副反応が生じる可能性が低くなる. 本研究の目的は超高純度マグネシウム製生体吸収性インプラントの生体吸収性、生物学的安全性、生体内での強度の維持などを評価することである.日本白色家兎をモデルとして,骨内および下腿の軟部組織に高純度マグネシウム製インプラントを留置し,単純X線像での長期間のインプラントの溶解過程の評価を継続した。従来マグネシウムインプラントの強度・生体内維持性の向上はMgの濃度・粒子配向性・粒子径などによって規定されるとされており、マグネシウムは高濃度であるほど溶解に時間を要すとされており、引き続きインプラント条件を変更しインプラントのさらなる高純度化と溶解時間のコントロールを検討していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルにおける筋層内留置・髄内留置・骨内外貫通インプラントモデルで単純X線による継続評価を行い、インプラントの至適条件についての検討を継続して行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
マグネシウムインプラントの生体内維持性と強度に関しての評価を引き続き行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
マグネシム製インプラントの吸収、溶解には長期間を要する。長期間の観察モデルが必要であり、濃度や粒子径・粒子配向性など条件の異なる複数インプラントを並行して評価しているが、生体内評価の前に疑似体液での溶解評価過程も必要であり、研究期間が長期となるため、引き続き複数モデルの評価と、至適条件が決定されれば臨床モデル(骨折モデル)での評価も行っていく予定である。本年度の残額は次年度研究費と合わせて評価に必要な物品の購入に充当する予定である。
|