研究課題/領域番号 |
22K12824
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山田 孫平 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (90839317)
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研究分担者 |
酒井 宏水 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70318830)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アスタキサンチン / HbV(ヘモグロビンベシクル) / 活性酸素(一重項酸素) / 抗酸化能 / 分子間相互作用 / 複合抗酸化効果 / リポソーム |
研究実績の概要 |
人工血液として開発されたリポソーム化したヘモグロビン(HbV)は、投与後、ヘモグロビン(Hb)が自動酸化や活性酸素などにより酸化されメト化される課題がある。このメト化を抑える方策として新たにレシチンによるリポソーム化したアスタキサンチンを添加するとリポソーム化していないものに比べよりメト化抑制する結果を得た。また、原料の調製方法を検討した。いずれも現行人工血液用として用いるにはアスタキサンチン原料はヘマトコッカス由来の藻類から得られるものであるが、高価な為、実用化に向けては大きな課題になる。そのため、より安価で調製出来る方法を模索した。そこで、廃棄されるカニの殻からエタノール抽出して得られる方法を検討し、アスコルビン酸カルシウムを混在して安定にアスタキサンチンを取り出す方法を見出した。さらに、複合抗酸化剤の観点から、アスタキサンチン以外の抗酸化剤であるクロロフィルについて検討を行った。エコロジーの観点から廃棄あるいは市販規格外品のほうれん草からエタノール抽出し、同様にアスコルビン酸カルシウムを混在して安定してクロロフィルを取り出す方法を見出した。また、アスコルビン酸カルシウムについても調製方法を検討し、レモンやパプリカからアスコルビン酸をエタノール抽出し、ホタテの貝殻から得られる焼成カルシウムを用いアスコルビン酸をカルシュウム塩とする方法も見出した。 抗酸化能においては、抗酸化剤のアスタキサンチンとクロロフィルを混合すことにより抗酸化能が向上することを見出した。また機器分析NMRによりこの2成分のアスタキサンチンとクロロフィルが相互作用が検証され抗酸化能を向上していることが予測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.抗酸化剤の複合化条件の至適化①単独及び複合した抗酸化剤の各種リポソームHbV(ヘモグロビンべシク)の調製:アスタキサンチン・クロロフィル・アスコルビン酸カルシュウムの各原料の単独調製方法はほぼ完了したものの単独及び複合体のリポソーム化に至っていない。②至適なメト化抑制効果を有するHbVの選定:①のリポソーム化が完了していないので至適なメト化抑制の条件に合う組成の抗酸化剤を見出せていない。 2.複合抗酸化剤含有HbVの酸化耐性機序の解明(in vitro) ①抗酸化効果の検証:抗酸化剤の複合化条件の至適化が達成できていないので評価できていない。②メカニズムの解明:機器分析NMRにより2成分のアスタキサンチンとクロロフィルの相互作用による抗酸化能の向上の予測データは得られた。しかし、論文公表や学会発表に至っていない。3.抗酸化剤含有HbVの酸化耐性機序解明(in vivo)は抗酸化剤の複合化条件が達成できていないので体内での酸化抑制効果やメト化抑制効果の評価に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
1.抗酸化剤の複合化条件の至適化 単独及び複合した抗酸化剤の各種リポソームHbV(ヘモグロビンべシク)の調製においてアスタキサンチン・クロロフィル・アスコルビン酸カルシュウムの単独及び複合体のリポソーム化を速やかに完了させる。単独でもリポソーム化ができたものを採用する。 2.複合抗酸化剤含有HbVの酸化耐性機序の解明(in vitro) 抗酸化効果の検証として複合抗酸化剤の抗酸化能の測定を実施した。また、メカニズムの解明として機器分析NMRにより2成分のアスタキサンチンとクロロフィルの相互作用による抗酸化能の向上の予測データは得られたので論文公表および学会等の発表を実施する。 3.抗酸化剤含有HbVの酸化耐性機序解明(in vivo)は抗酸化剤の複合化条件が達成でき、現行の酸化耐性以上の効果が見られれば、体内での酸化抑制効果やメト化抑制効果の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究目的の高いメト化抑制効果を得る至適条件が見いだせていないので、次の動物試験などの性能試験に取り組めていない為。計画の予算を使用できていない。その為、高い目的の効果を得られるように鋭意検討中である。
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