研究課題/領域番号 |
22K12874
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
尾川 浩一 法政大学, 理工学部, 教授 (00158817)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | SPECT / 深層学習 / モンテカルロ法 / コリメータ / 画像再構成 / 投影データ / 画質改善 / 静止型データ収集 |
研究実績の概要 |
今年度は、平行多孔型コリメータを用いたSPECTシステムのジオメトリに関して、ガンマ線の吸収や散乱線の影響、統計雑音の影響、コリメータの影響、検出器の固有空間分解能に起因する画質劣化に関して、従来のモデルベースの画像補正法と比較して、深層学習を用いた画質改善法がどの程度、優位であるかをシミュレーションによって検討した。 定量的評価を可能にするために幾何学的な数値ファントムに対して、モンテカルロ法による光子輸送計算をGPU(グラフィック・プロセッサ・ユニット)を用いて実施して、種々の物理現象の影響を考慮した投影データ(学習データ)を作成した。また、教師データとしては解析的に得られる理論的投影データを利用した。これらの学習データと教師データから、画質補正のためのネットワークのモデルをU-net++を用いて構築した。 これとは別に、モデルベースの従来手法として、ML-EM法に組み込んだ吸収補正法やTEW(Triple Energy Window)法に代表される散乱線補正法を使い、量子雑音の多い場合と少ない場合に関して、モデルベースの補正方法とデータ駆動型の深層学習による補正方法で、その効果にどのような違いが現れるかを検討した。再構成画像の評価はPSNRやMSEなどを用いた。また、脳ファントムを用いたシミュレーションでは、白質、灰白質から異なる数の光子を発生させ、X線CT画像の吸収マップを利用した投影データを作成した。 これらのシミュレーションによって、データ駆動型の深層学習を用いた補正法の優位性について検討した結果、いずれのファントムにおいても深層学習を用いた方法は、従来のモデルベースの補正法と比較して顕著な補正効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書作成時に予定していた研究内容をほぼ達成しているため。
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今後の研究の推進方策 |
データ駆動型の画像処理では、そのネットワークモデルを構築するために多くの画像データが必要になるが、世界中で公開されているSPECT画像のデータはあまり多くなく、実際の患者の臨床データを検討することが困難になるために、PET/CTのデータの利用やMRI画像から吸収係数マップを作成することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に使用する予定であった学会出張旅費を他の補助金で運用したため残金が発生した。この残金は次年度の論文発表等で使用する予定である。
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