これまでの先行研究を通して、早期試験に基づく条件付き承認取得後の検証試験が条件付き承認対象の治療ラインと同一であるかどうかが検証試験結果に基づく承認継続可否に対する規制当局の対応にとって本来重視されるべきではないかということ、また、条件付き承認に資する早期試験の開発主体が大手製薬企業なのかどうかが日本での承認時期に大きな影響を与えるのではないかということが研究テーマとして非常に重要であることが分かった。そこでこれらについて血液悪性腫瘍に対する薬剤を題材として調査を実施している。現時点でのそれらの成果を日本臨床腫瘍学会に加えて、国際学会であるAmerican Society of Hematology Annual Meetingでも発表することができた。 また、医薬品のみならず、医薬品の投与対象患者の選定に有用な遺伝子変異を検出するがん遺伝子パネル検査等の医療機器やコンパニオン診断薬の開発に対する薬事規制も先進的ながん治療を実用化する上で非常に重要である。そこで、これらの薬事規制に関する日米の現状を調査し口頭発表を行った。 さらに、日本においても悪性リンパ腫及び多発性骨髄腫に対して承認され急速に広まっているCAR-T細胞療法について、日米欧で承認取得に際して規制当局に提出された非臨床試験の内容を調査し、口頭発表を行った。さらに日本癌学会学術総会では非臨床試験のみならず品質に関する薬事規制や各国の早期承認制度についても調査を行い、口頭発表を行った。
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