研究課題/領域番号 |
22K12888
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山田 耕嗣 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80528042)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
松久保 眞 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00528036)
大西 峻 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (10614638)
山田 和歌 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20457659)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30757919)
村上 雅一 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40825361)
加治 建 久留米大学, 医学部, 教授 (50315420)
杉田 光士郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50781514)
武藤 充 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70404522)
春松 敏夫 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (70614642)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腹腔鏡 / 内視鏡外科 / トレーニング / シミュレータ / 小児外科 |
研究実績の概要 |
今年度は年度別計画に基づき、内視鏡外科手術シミュレータを用いた模擬手術によるシミュレーター設定及びタスクの設定を行い、続いて同シミュレーター及びタスク設定を用いたデータ収集・トレーニング効果の検証を行った。モニターサイズの影響を検討するために、先行研究にて用いた腹腔鏡下噴門形成術シミュレーターを使用した。術者ポジション、ポートレイアウト、鉗子サイズ、縫合糸の材質と大きさなどの詳細は実臨床手術と同一を想定したものとした。モニターサイズのバリエーションとして3タイプを設定した。もっとも普及している32インチサイズを中心に、より小型の24インチ、より大型の43インチを用意して、3タイプですべて同一の手術環境を構築した。術野映像は同一視野とし、カメラ位置を固定として、検査中にカメラ操作を要さないように設定した。術者に与える影響を検出するために、タスク終了までの時間、鉗子運動特性を検出するために3次元位置特定装置を用いた鉗子移動距離、鉗子速度、鉗子加速度を求めた。術者の頭部運動、及び眼球運動を測定するために、スマートメガネデバイス:JINS MEMEを使用し、頭部の運動加速度、傾き及び眼球の運動方向、運動回数、瞬き回数を測定した。測定結果を解析したところ、3サイズのモニターサイズにおいて、同様の結果が得られ、鉗子運動特定及び被験者の頭部及び眼球運動に有意差は認められなかった。しかしながらアンケート調査において、モニターサイズの違いによる被験者が受ける難易度の感覚に有意差を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究初年度として、研究計画に基づいて研究計画の詳細の設定から取り掛かることとした。手術シミュレーター及びタスクは、先行研究で用いたことのある方法を採用したため、時間を要することなくスムーズに決定した。研究デザインの詳細は概ね先行研究で繰り返し実施したデザインを踏襲することとしたため、当初より構想していた通りに特段の問題なくセッティングした。データ収集開始の目処が想定より早く立ったため、来年度以降に予定していたデータ収集作業を、パイロットスタディーとして前倒しで開始することとした。どのような知見が得られるかは予想の域を出ないため、まずは過去に実施した実験とほぼ同様の内容で実施し、得られた結果から次段階の研究計画を立てることとした。 得られた知見は当初期待されていたものとは異なり、モニターサイズ間に有意差なしという結果であった。考察において、この研究デザインによるシミュレーション手術は実臨床とは異なる条件下で行われている可能性が考えられたため、得られた結果は実臨床環境とは異なる特定条件下に限定されたものであるという結論に達した。本知見は特定環境下という条件下における新知見として報告するとともに、新たに研究デザインを設定して再実験を行うこととした。したがって本研究は当初の計画より前倒しで開始したものの、得られた知見からは最終結論に達しないと判断したため、新たに研究計画を策定する必要が生じた。そのため当初の研究進捗予想と同様の進捗段階にあり、おおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
前段で述べたとおり、本研究は当初の計画より前倒しで開始することとしたものの、得られた知見からは最終結論に達することは困難と判断した。新たな知見を探索するために、今年度の成果を基に新たな研究計画の策定を行うこととした。 モニターサイズ間に有意差が見いだされなかった理由として、内視鏡カメラ位置の固定の問題が想定される。カメラ位置が固定されている場合、サイズの違うモニターに映し出されるのは同一映像の拡大もしくは縮小映像となり、描出されるエリアは同一のものとなる。しかしながら実臨床においては、映像の拡大縮小はカメラの前後位置の移動によって調整されるものであり、その場合描出されるエリアは、拡大視の場合は縮小、遠景視の場合は拡大されるべきである。また、本研究ではモニターと被験者の立ち位置を固定位置としたが、実臨床においてモニターサイズが大きいまたは小さいと感じる場合には、術者はモニターを遠ざけるまたは近寄せる操作をするはずである。術者にとって不自然または不快と感じながら手術を継続した場合、術者に過度のストレスが掛かり、疲労感または感覚的な難易度の上昇として現れる可能性がある。 したがって今後はカメラの位置をモニターサイズに応じて変更すること、術者の立ち位置またはモニターの前後位置をモニターサイズに応じて変更することなどを加味した研究デザインを作成し、先行実験と同様の測定項目を用いて評価し再度検証するとともに、先行データと比較検討することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCOVID-19の影響が依然続いていたため、国際会議の一部がリモート参加となった関係で旅費の使用計画に変更が生じた。次年度以降は通常開催へ復帰すると見込まれるため、より積極的に国際会議に参加する予定である。 当初の研究計画に変更を加えた上で再実験を計画している。内視鏡トレーニング用映像キット、分析機器、内視鏡鉗子類、及び消化管モデルや縫合糸等消耗品の追加購入を計画しており、財源に本年度の余剰経費を当てる予定である。
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