研究課題/領域番号 |
22K12890
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
野口 義紘 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (80724608)
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研究分担者 |
寺町 ひとみ 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20405129)
舘 知也 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80618447)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | シグナル / リアルワールドデータ |
研究実績の概要 |
本研究は、計算科学に基づくデータマイニングを活用したエビデンスの高い有害事象シグナルの創出を目的とした「若手研究 19K20731」の継続研究であり、対象を医薬品相互作用にまで拡張したものである。 有害事象自発報告データベースから得られるシグナルをエビデンスの高い情報にするためには、医療機関から収集されたリアルワールドデータや医薬品の化学構造データ、薬物応答遺伝子データなどを用いて十分に検証する必要がある。 本年度は、医療機関から収集されたリアルワールドデータを用いてシグナルの検証環境の構築し、実際にDPP-4阻害薬とメトホルミンの心血管疾患のシグナルについて検証を実施した。 日本の自発的報告システムである日本医薬品有害事象報告(JADER)データベースと、日本の健康保険請求および健康診断データベースであるJMDC社のデータベース(JMDC Claims Database)を使用した。主要心血管イベントを主要評価項目として設定した。結果:JADERを用いた解析では、DPP-4阻害剤では主要な心血管イベントのシグナルが検出されたが(IC:0.22, 95%信頼区間:0.03-0.40)、メトホルミンでは検出されなかった。JMDC Claims Databaseを用いた解析では、DPP-4阻害剤とメトホルミンの主要心血管イベントのハザード比は1.01(95%CI:0.84-1.20)であった。日本のJADERとJMDC Claims Databaseを用いた網羅的解析の結果、日本で広く使用されているDPP-4阻害剤は、欧米で第一選択薬として使用されているメトホルミンと比較して、心血管イベントのリスクが劣らないことを示した。 また、米国の有害事象自発報告データベース(FAERS)を用いて抗がん剤の有害事象シグナルを探索しており、今後の調査課題として適切な仮説生成がされたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有害事象自発報告データベースから得られるシグナルをエビデンスの高い情報にするためには、医療機関から収集されたリアルワールドデータなどを用いて十分に検証する必要がある。本年度は、検証環境の構築と検証事例として1件のリサーチクエスチョンについてシグナル探索およびシグナルの検証を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
医薬品相互作用のシグナルの探索を行い、そのシグナルについてリアルワールドデータを用いたシグナル検証を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ蔓延の影響で学会が、一部開催されたものの、中止・延期された。そのため、参加費・旅費の予定額を下回った。 本年度は海外在住の研究者による解析協力が得られ、解析用機器の購入を見送ったため、物品費が予定額を下回った。学内で解析できるように次年度に必要物品を購入する。
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