研究課題/領域番号 |
22K12902
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
野島 清子 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 主任研究官 (60370970)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グロブリン 製剤 / 中和力価 / ドナー疫学背景 / オミクロン / ワクチン接種 / 感染 |
研究実績の概要 |
2020年1月に国内第一例目の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者が報告されて以来、短期間で新規のmRNAが承認され、国民の9割以上が複数回のワクチン 接種を受け、一時的に国民の多くがSARS-CoV-2に対するS抗体を有した。また厚生労働省の献血血液を用いた調査により、国民の42%が抗N抗体を保有していることが報告された。このように、新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクにより、献血ドナーの疫学背景が一気に変化した。血漿分画製剤であるグロブリン 製剤は1万人以上の献血ドナーの血漿プールから濃縮されて製造されるため、グロブリン製剤中には一時的に高力価のSARS-COV-2に対するグロブリン が含まれる可能性が高い。今年度は、市中より経時的に、国内で製造されたグロブリン製剤および海外で採血され製造された輸入製剤10ロットを経時的に購入し、製剤中に含まれる、SARS-CoV-2 の武漢株、オミクロン株を含む各変異ウイルス株に対する中和力価をmicroneutrization 法により経時的に測定した。その結果、新型コロナアルトブレイク前に製造された製剤中からは中和抗体は含まれず、アウトブレイク後に米国で製造された輸入製剤であるハイゼントラ製剤、ピリヴィジェン製剤からは、武漢株に対する中和力価として80倍&から10240倍 、オミクロン株に対しては80倍から640倍が確認され、日本の製剤からは武漢株に対する中和力価として20倍、オミクロン株に対しては検出限界以下であった。一方麻しん抗体価は新型コロナウイルスアウトブレイクによる影響はなく、同程度であった。これまで感染症のアウトブレイクおよびワクチン接種によって国民の大半において急激に特定の抗体上昇を認める事例は経験がなく、来年度も継続してドナー血液への影響について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調であるが、研究材料であるグロブリン 製剤が市場で逼迫しているため研究用の購入が困難になってきているため、今後の研究遅延が予想される。
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今後の研究の推進方策 |
研究材料であるグロブリン 製剤が市場で逼迫しているため研究用の購入が困難になってきているため、今後の研究遅延が予想される。村山医療センター職員のワクチン 接種検体を用いた解析を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた血液製剤が研究用に購入できなかったため次年度に回した。
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