研究課題/領域番号 |
22K12947
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
長井 力 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (80401777)
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研究分担者 |
大日方 五郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (50111315)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 歩行補助装置 / 支援ロボティクス / リハビリテーション / 身体状態推定 / 移動支援 / 日常使用 / 人間-機械協調 / 歩行効率向上 |
研究実績の概要 |
本研究は,対麻痺者の歩行補助及びリハビリテーションを目的とした下肢パワーアシスト装置の開発を行っている.使用者が日常使用しやすく安全な歩行を可能とするために1. 対麻痺者の少ない身体情報から使用者の意図を推定する手法の確立,2.得られた情報から使用者の状況を推定し最適な歩行を実現する制御手法の確立を目指している. 課題1については,新型コロナウイルス感染拡大の影響から,医療施設においての対麻痺者による運動解析実験を行うことができなかったため,主に健常者による歩行解析実験を行い,歩行の特徴解析手法の検討を行った.データ処理及び解析モデルの構築を行い,特徴評価に有効であるか検討している.課題2については,関連する歩行制御手法の検討及びパワーアシスト装置の改良を行った.パワーアシスト装置と使用者を協調制御させるためのセンサシステムの改良と歩行制御コントローラへの入力方法の検討を行った.その結果、従来と比較して安定性が向上し誤動作が減少した.歩行補助装置の誤動作は転倒などの重大事故につながるため、信頼性の向上は重要である.また,アシスト装置の機構について改良を行い,シンプルで堅牢な構造の実現と軽量化を行った.最適なセンサ配置とアクチュエータ機構の簡素化を行うことにより,信頼性を獲得する.構造上もっとも負荷のかかる股接手部分は,企業と共同で改良を行っている.医療施設以外での日常使用を目指す場合,複雑で重量のあるパワーアシスト装置は故障の原因と駆動時間の減少につながることから,シンプルで軽量な構造による効果は大きい.改良したパワーアシスト装置を用いて健常者による歩行実験を行い,有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1に関して,新型コロナウイルス感染拡大の影響から医療施設における対麻痺者による運動解析実験を行うことができなかったため遅れている.現在医療関係者と調整を行っており,感染拡大状況が改善し準備態勢が整い次第実験を行う.また,より被験者への影響が少ない実験方法を医療関係者の助言を受けながら検討する. 課題2に関しては,感染拡大の混乱の影響で装置部品等の納入が遅れており,一部装置の改良に影響が出ている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進については概ね当初計画の通りであるが,新型コロナウイルス感染拡大の影響により遂行できなかった課題については,状況が改善次第順次取り組む. 課題1については,引き続き健常者による歩行解析実験を行い,歩行の特徴解析手法の検討を行いながらデータ処理及び解析モデルの構築を行い,特徴評価の有効性について検討を行う.医療施設においての対麻痺者による運動解析実験については,医療関係者と調整を行いながら準備態勢を整え,感染拡大状況が改善次第実験を行う.実験方法については,より被験者への影響が少ない方法について医療関係者の助言を受けながら検討する. 課題2については,制御系の改善やハードウエアの改善を引き続き行う.健常者の運動データから運動意図抽出モデルの構築を試みる. 得られた成果については,学会発表及び論文執筆を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の予算については,新型コロナウイルス感染拡大による影響から実験装置に必要となる部品の納入が遅延しており,企業に依頼しているアシスト装置の部品についても,感染拡大による混乱の影響から製作が遅延しているため,予算執行できなかった.部品の入手については状況が徐々に改善しており,順次納入される予定である. 人件費・謝金の予算については,被験者を用いた歩行実験が感染拡大による影響から行うことができなかったため,予算執行できなかった.実験については関係各所と調整を行っており,状況の推移を見ながら体制を整え実験を行うよう準備している.
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