研究課題/領域番号 |
22K12952
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
吉村 貴子 京都先端科学大学, 健康医療学部, 教授 (40454673)
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研究分担者 |
大沢 愛子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (10388944)
久 育男 京都先端科学大学, 健康医療学部, 教授 (50181087) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 意思疎通 / 視線行動 / 認知神経心理学 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
認知症の人の視線行動に現れた意思を周囲の人が読み解くコミュニケーション法を確立するために、今年度の研究として、1) アイトラッキング装置による認知症の人の視線行動分析や、2)視線行動と言語処理という並列的処理の検証に必要なデータ収集を行った。 1)について、眼球の位置と方向を測定するアイトラッキング装置を用いた視知覚実験を認知症高齢者群に行った。視線行動の開始時間、持続時間など、情景画叙述課題における視線行動をアイトラッキング装置で記録し、視覚でとらえた外界の情報を認知症高齢者群はどのように談話レベルで表出するのかを調査した。 2)について、情景画を見て言語で表現するまでの間には、見た情景画の情報の保持と言語処理という並列的処理が必要になる。視線行動と言語処理という並列的処理にワーキングメモリ容量が関わるかを検証するために、高齢者版リーディングスパンテストを用いて、認知症高齢者群のワーキングメモリ容量を測定した。 アイトラッキング装置を用いて叙述課題を観察すれば、認知症の人が表出したことばから外界の対象をどのように視線でとらえたかを間接的に推測するのではなく、認知症の人の視線行動を直接検証できる。また、アイトラッキング装置により観察した視線行動・談話叙述とワーキングメモリ容量の関連を検証すれば、認知症の人に起こるコミュニケーション困難が、ワーキングメモリ容量低下に起因する視線行動と語彙処理の連携の不安定さに因るのかについても解明できる。 これらのことを解明することができれば、本研究によって視線行動を用いた日常での意思疎通の円滑化に向けた具体策や、家族介護者に対する系統的なコミュニケーション指導法など具体的な提言につなげることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症高齢者群に対する実験や調査はほぼ予定どおり遂行している。 比較対照として非認知症高齢者群の選定が若干遅延しているが、計画した年度においては実験を実施できる見込みであるため、概ね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画として、認知症高齢者群の実験や調査を継続して行い、比較対照のための非認知症高齢者群の実験や調査を研究協力者を増やして、計画どおりに遂行することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者に変更が生じたこと、ならびに対照群に対する実験の進捗状況により次年度使用額が生じたが、次年度に継続実施してデータ収集する見込みである。
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