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2023 年度 実績報告書

色覚少数者の日常生活世界の構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K12956
研究機関東北大学

研究代表者

馬場 靖人  東北大学, 情報科学研究科, JSPS特別研究員(PD) (00927569)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード色盲 / 当事者 / 当事者研究 / ポスト構造主義 / 現象学 / 言語
研究実績の概要

2023年度は、研究目的②(「過去の色覚少数者たちが自身の日常的な色彩経験について記述したテクストを相互に比較し、それらに共通するパターンを明らかにする」)および③(「それらの共通のパターンを現象学やポスト構造主義の知見に照らして解釈し、当事者間に共通する経験の構造を解明する」)の達成のために、当事者研究会の実施を継続するとともに、色覚検査器具「仮性同色表」の発明者であるJ・シュティリングのテクストを読解し、そこで色盲や色盲者がどのように記述されているかを明らかにすることを試みた。シュティリングは、A・ショーペンハウアーやA・クラウゼといった先行の哲学者たちのカント解釈を通してカント哲学を読解し、それによって自身の色覚/色盲理論を基礎づけようとしていた。彼は特にクラウゼの議論にしたがって「色彩カテゴリー」なるものを人間の認識のなかに導入するのだが、そのカテゴリーのなかに含まれている項目はすべてドイツ語の日常的色彩語を基準として選択されており、多様な言語間の差異が全く考慮に入れられていなかった。これは、彼がカント哲学における言語への無関心を継承していたことに加え、思想史的に構造主義的な言語観が普及する前のことであったことなど複数の要因が関係していると考えられる。いずれにせよ、彼のこの言語観が障害となって、同一言語内における差異――色覚多数派の言語と色覚少数派の言語とのあいだの差異――に気づくことができなかった可能性が考えられることを示した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] J・シュティリングのカント解釈――色盲理解の認識論的基盤としての超越論哲学2023

    • 著者名/発表者名
      馬場靖人
    • 学会等名
      早稲田 表象・メディア論学会

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公開日: 2024-12-25  

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