研究課題
若手研究
本研究は、色覚少数者による自分自身の色彩経験についての語りを、現象学やポスト構造主義の知見に照らしながら解釈することによって、色覚少数者の日常生活世界の構造を解明することを目的とするものである。色覚少数者の当事者研究会の開催や文献解釈を通して、当事者間に共通する経験のパターンを抽出し、当事者の視点からその日常生活世界の構造の一部を明らかにすることができた。
色盲論
人文学ではこれまで、色彩や色彩知覚へ関心が寄せられてきたが、少数派色覚の色彩経験に対する関心は周縁的なものにとどまっていた。本研究は、従来の色覚多数派中心主義的な色彩観を色覚少数者の視点から問い直し、哲学・思想や当事者研究の発展に大きく寄与した。また、本研究は、色覚少数者に対する偏見を改善し、社会福祉の向上にも貢献した。