研究課題/領域番号 |
22K12989
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90782566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 精神分析 / 精神分析史 / 思想史 / フロイト / 精神医学 |
研究実績の概要 |
本研究課題の初年度にあたる今年度は、「精神分析史研究の現在」の検討に取り組んだ。日本の資料を検討するとともに、欧米の研究状況をサーヴェイし、主として5つの研究を行った。(1)日本精神分析学会と日本精神病理・精神療法学会における「68年(ないし69年)」の動きを検討し、中井久夫や木村敏、あるいはフランスのジャン・ウリなどをポスト68年的な「ふつうの精神科医」の誕生として位置づけた。また、中井久夫の逝去に伴い、その業績を歴史的な文脈の中で再検討する論考を発表した。(2)フロイトの初期の症状論にみられる「真珠モデル」について、その歴史的変遷と併せて検討し、日本精神分析的心理療法フォーラムで発表した。(3)フロイトとグリージンガーの関係について検討し、日本精神医学史学会で発表した。また、大学院生と共同で(4)フロイトの「性理論三篇」の初版(1905年版)についての研究状況を整理し、(5)精神分析史の英文専門誌の既刊分についてデータベースを作成した。これらの(4)(5)については次年度以降、順次発表・刊行がなされる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「精神分析史」の日本への導入を行う本研究課題であるが、初年度にそれなりの数の研究発表を行うことができた一方で、「精神分析史」の領域の広範さゆえに、初年度だけで「精神分析史研究の現在」の検討を十分に行うことができなかった。次年度もひきつづき精神分析史研究の蓄積をサーベイし、その思想史的インパクトを紹介しながら、徐々に次の研究計画に移ることが必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度もひきつづき精神分析史研究の蓄積をサーベイし、その思想史的インパクトを紹介しながら、徐々に次の研究計画に移ることが必要となる。具体的には主として2つの検討課題((4)フロイトの「性理論三篇」の初版(1905年版)についての研究状況を整理し、(5)精神分析史の英文専門誌の既刊分についてデータベースを作成した)を中心に、研究を遂行し、まずそれぞれの論点について十分な量・質の研究発表を行う(ここには、まだお公にすることのできない書籍の刊行計画が含まれる)。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題遂行にあたって、研究員に依頼する作業の準備に遅れが生じたこと、また取り組む内容の順序に変更があったため、当初計画していた人件費および物品費に変更が生じた。次年度は適切に計画を立てて研究を遂行する。
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