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2022 年度 実施状況報告書

カルヴァン派の伝統における為政者論と抵抗権思想ーー伝統と自由の両立をめざして

研究課題

研究課題/領域番号 22K12991
研究機関東京都立大学

研究代表者

住田 博子  東京都立大学, 法学政治学研究科, 博士研究員 (00868143)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード抵抗権思想 / ユグノー / 神との契約 / テオドール・ド・ベーズ / 良心の自由 / 君主の神与の地位 / 聖なる王権
研究実績の概要

本研究は、王権の神的権威を重視し服従を要請するカルヴァン派の政治思想の中から、王権への抵抗を唱える論者たちが登場したことの理由の解明を課題とし、手掛かりを王権論のうちに求めようとするものである。それゆえ研究は2つの異なる側面から成り立つ。(1)カルヴァン派抵抗権思想についての研究と(2)ヨーロッパ王権論の伝統についての研究である。以下、二つを分けて報告する。
(1)カルヴァン派抵抗権思想については、今年度、基本となる一次文献および研究文献の購入・収集をおこなった。これまで入手できていなかった資料の欠如を補い、研究の基盤を整えられた。このテーマの今年度の業績としては、書評1本を挙げたい。イギリス人研究者Anna Rosensbergの手によるカルヴァン派抵抗権思想をめぐる著書を対象としたものである。また、未発表ではあるが、入手した資料の分析の結果、カルヴァン派論者による抵抗の主張はの根拠には、2つの異なる論理(神の命令と人民主権)があったという見通しを得、着想を学会報告原稿にする作業を進めた。
(2)ヨーロッパ王権論にかんしては、まず基礎知識のインプットに努めた。マルク・ブロックや堀米庸三など、古典的な中世研究の文献に学び、研究の前提となる知識を固めた。同時に、近年盛んにおこなわれている新しい研究の動向を把握することに努めた。デシモン(Robert Descimon)やジュアンナ(Arlette Jouanna)、ディーフェンドルフ(Barbara Diefendorf)、中澤達哉、岩井淳など、王権概念を問い直す研究がなされている。これらの人々の研究文献を入手し、読み込む作業を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度にあたる今年度は、文献の入手とそのインプット等、本研究課題の基盤を整える仕事に重点を置いたが、これは計画の通りである(当初の予算で、研究期間のうち今年度の書籍費の割合を最も大きくとっていた)。
(1)カルヴァン派抵抗権論は、これまでの研究からの継続であるため分析を進め、業績を1本出した。(2)ヨーロッパ王権論の伝統は、今年度から始めて取り組むテーマであるため、一から土台を築くことに徹した。

今後の研究の推進方策

(1)カルヴァン派抵抗権思想については、2023年6月に日本ピューリタニズム学会で研究成果を報告する予定である。報告に対する意見・批判を受け、研究内容をブラッシュアップしていく。投稿論文に仕上げたい。
(2)ヨーロッパ王権論については、王権論の伝統的考え方がカルヴァン派抵抗権論者に継承されていたか否かの検証を進めるつもりである。現段階で、抵抗権パンフレットから特徴的な王権の性格づけを析出することができている。その特徴が、伝統的王権論を引き継いだものなのか、それとも彼らが新たに考案したものだったのか考察する。しかるのちに、王権論の特徴が彼らの抵抗権主張にいかに影響を及ぼしたかという論点に取り組む計画である。

次年度使用額が生じた理由

当初購入予定であった文献のうち、海外から取り寄せが不可になったものが数件生じ、そのぶん余剰が生じた。次年度以降、別の文献の購入費用に充てることにしたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 書評Anna Rosensbeig, Subjects of Affection, Rights of Resistance on the Early Modern French Stage2023

    • 著者名/発表者名
      住田博子
    • 雑誌名

      ピューリタニズム研究

      巻: 17 ページ: 120-121

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公開日: 2023-12-25  

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