研究課題/領域番号 |
22K12993
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
許 智香 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (60876100)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 基礎学問の植民地学知 |
研究実績の概要 |
2022年度では植民地朝鮮の専門学校の中、普城専門学校、延禧専門学校、梨花女子専門学校の基本資料である学校史を収集した。具体的な考察までは進んでいないが、研究状況について韓国日本思想史学会で研究発表を行った。 哲学関連教科ではないが、京城帝国大学と関連して、医学部の医化学講座に関する研究論文(査読付)を発表することができた。本研究は、理系の基本科目として医化学講座が、植民地大学である京城帝大にどう編成されていたか、その教室の全貌を明らかにしたものである。京城帝大の哲学科、特に戦時期の哲学科の動向において必ず言及される人物・津田剛の実兄がこの医化学講座と深い関わりがあることや、医化学は医学の基礎科目であるという点から、植民地における基礎科目の編成に注目したわけである。この作業は、植民地朝鮮の帝国大学における基礎学問の編成が、もっぱら「内地」に準じる形で行われた点、「内地」の人事的移動に支えられていた点などをあらためて明らかにするきっかけとなった。また、データの基礎作業という点からも実質的な補助線を引くことができた。 一方で、安倍能成の京城帝国大学時代の日記を翻刻する作業を続けた。哲学科がどう動いていたかという実務的な事情、そして植民地の哲学科をめぐる人間関係、安倍の講義の準備様子や、安倍の学問と仕事の具体的な様子についてひとまず、1929年度までの翻刻が終わり、これから本研究に活用していくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
さまざまな関連史料を読解していく中、特に本研究の中核をなす「京城帝国大学」については、まだ考察がなされていないところが多いことに気づいたことが、本研究の中心的な課題よりも、周辺的問題に集中した結果となった。だが、2022年度の研究成果を通じて、京城帝大をめぐる人的関係や、帝国と植民地の学知を考える際に有用なヒントを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では最も本研究と深い関係を持つ、旧制高校の論理科目の学制編成過程をまず整理し、それが植民地の学知といかなる関係を持つのかについて明らかにする。そして最終的問題として、植民地の学者でありながら西洋哲学を学んだ人たちが、植民地に戻ってからなぜ論理や英語、ドイツ語などの外国語を教えているのか、という問いについて、試論を出すことを目指す。 一方、京城帝大の哲学科に関する実証的な分析を目指す。これについてはすでに共同研究が用意されており、その研究場を借りて、植民地帝国大学の哲学学知が持っている性質をわかりやすく整理し、展望を提示することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費で予想した金額より支出が少なかった点が理由として挙げられる。研究に必要な本の購入に回す予定である。
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